機能安全(ISO26262)
現在の車両には数十におよぶ電気電子(E/E)システムが搭載され、かつ統合化されており、システムレベルでの安全性が必要になっています。機能安全とは、ISO 26262 Part 1において「電気電子(E/E)システムの機能不全のふるまいにより引き起こされるハザードが原因となる、不合理なリスクの不在」と定義されています。これは、E/Eシステムに故障が発生してもフェールセーフなどの安全機能を設けることにより、ドライバーや乗員、交通参加者等への危害を及ぼすハザード(危険)を許容可能なレベルに低減するという考え方をいいます。
ISO 26262はIEC 61508をベースとし、Part1~Part12で構成される規格であり、自動車のE/Eシステムのアプリケーション分野における固有のニーズに準拠するように策定された規格です。 2011年11月に第1版が発行され、2018年末に第2版が発行されました。
現在の車のE/Eシステム(車載ECU)搭載イメージ
ISO 26262の概要図(出典:ISO26262-1、図1 Overview of ISO26262)
2011年3月から完成車メーカー、部品メーカーの参加を募り、JARI内にISO 26262 運営委員会を設置し、日本自動車工業会、自動車技術会およびJASPAR 殿のご協力を得て規格の運用に向けた課題と対応について情報を共有してきました。そして、20社以上が参加する共同研究事業を立ち上げ、ワーキンググループ活動を通した規格解釈の支援やワークショップを開催し、研究成果の公開を行っています。
また、2011年9月より、イギリスの試験研究機関であり、ISO 26262の策定にも参画しているHORIBA MIRA (Motor Industry Research Association) と技術提携を主体としたパートナーシップを結び、機能安全への取り組みの先駆者である欧州の知識、経験も取り入れた活動を行っております。
ISO 26262共同研究活動
上記共同研究の解説書ワーキンググループの活動成果である、 ISO 26262の規格解釈(Part 2, 3, 4, 5)について、JARIより刊行物として発行(有料)いたしました。
国土交通省からの受託事業である「電子制御システムの安全基準策定に関する調査検討」など、1990年代より自動車の機能安全に対する研究に取り組んできました。
2005年からは公益社団法人自動車技術会(JSAE)主催の機能安全分科会に参加しISO 26262の検討を開始しており、2008年からは一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)等と連携し、実車実験なども含めISO 26262導入に向けた調査研究を実施しています。
ISO 26262に対するJARIの活動
2011年9月よりイギリスの試験研究機関であり、ISO 26262の策定にも参画しているHORIBA MIRA 社と技術提携を主体としたパートナーシップを結び、機能安全への取り組みの先駆者である、欧州の知識、経験も取り入れた機能安全トレーニング、コンサルティングといったサービスの提供を行っています。
特に、自動車メーカー、部品メーカーにて製品を開発されている技術者、開発管理責任者、品質責任部署のメンバー、プロセス改善を推進する部門のメンバー、全社的な活動を承認、推進する経営陣、といった方々を対象にした、様々なISO 26262トレーニングプログラムを用意し、お客様個別の状況に応じたトレーニング内容のカスタマイズも進めています。