水素・燃料電池
自動車用圧縮および液化水素容器や水素供給インフラの安全基準の国内規制の適正化、国際基準調和および国際標準化に資する研究を行っています。
具体的には、既存する水素容器試験法のさらなる合理化や大型車用の長大容器、限られた車両の空間の中でより有効に燃料を貯蔵するために、燃料容器形状の自由度が大きく向上する新構成容器(小径容器)の試験法に資するデータを取得しています。
また、燃料電池大型トラックに安全かつ短時間で水素を充填するための充填プロトコルの検証や液化水素充填時における液化水素タンク内の挙動などを調べ、将来技術に関わる適正な試験法策定に貢献しています。
新構成容器の一例
充填時の容器内の水素および容器の温度
水素・燃料電池の自動車の国際基準調和に関わる安全性評価試験法開発のために、実用化に向けて検討されている燃料電池大型トラックやバスに関わる衝突・火災安全性に関わる調査・研究を実施しております。
また、ファーストおよびセカンドレスポンダーの安全な事故後処理対応として、水素漏洩車両に対する聴覚による水素漏洩検知の有効性や、送風および放水による水素拡散効果、事故後容器の脱ガスの対応などを実験的に検証し、燃料電池自動車を安全に利用するための社会的受容性向上に向けた取り組みを実施しております。
水噴霧による水素拡散効果
70MPa✕2本の容器の安全弁がほぼ同時に作動した場合の火炎の様子
燃料電池自動車(FCV)の商用車や業務用車両などへの車種拡大を想定し,FCVで使用される固体高分子形燃料電池の膜/電極接合体(MEA)の性能,耐久性評価に係る研究に取組んでいます.
FCVに供給される水素燃料中の不純物の影響を把握するため,発電特性評価と排出成分分析を併用した解析を行っており,得られた研究成果はFCV用水素燃料品質規格(ISO14687)改訂の議論等で活用されています.
FCVの燃費試験方法としては質量法,圧力法,流量法がISO23828に定められていますが,いずれも車外から水素供給するための改造が必要な手法です.FCV普及に向けた技術開発として,車両改造不要な燃費試験方法に関する研究を行っています.
JARI標準セル(左)とJARIセル2のセパレータ(右)
水素燃料中の不純物成分の影響評価
FCVの燃費計測(左:排ガス分析計,右:試験時車両)