水素・燃料電池
自動車用圧縮水素容器や水素供給インフラの安全基準の国内規制の適正化、国際基準調和および国際標準化に資する研究を行っています。
具体的には、国際的に審議される水素容器の樹脂製ライナーの劣化や圧力サイクル試験後の破裂圧力に関するデータを取得するとともに、
水素充填時における充填ノズルなどの氷結・固着現象や、燃料電池バスや二輪車用の水素容器へ安全に水素を充填するための充填プロトコルの検証試験などを行い、
適正な試験法策定に貢献しています。
水素充填時の充填ノズル氷結・固着試験
燃料電池二輪用圧縮水素容器の充填試験
水素・燃料電池自動車の国際基準調和に関わる安全性評価試験法の開発、事故や火災後の対処方法、および水素容器の廃棄方法に関わる研究に取り組んでいます。
具体的には、水素の漏れる音情報から車両へ安全に接近する手法や、焼損した容器の健全性、事故後容器のガス抜き手法について調査するとともに、
水素容器のくず化する際の安全かつ合理的な作業手順について、実験的に検証を行い、将来の普及期における水素・燃料電池自動車の安全性に貢献しています。
水素漏洩音の聴取実験
事故後容器のガス抜き手法の調査
(ドリルによる穴あけ)
水素燃料に含まれる不純物が発電性能に及ぼす影響を調査し、電解質成分の劣化機構解析や白金触媒の被毒解析などを進めています。
得られた成果を基に、水素燃料の品質規格については日本が議長国となって国際標準化を主導しています。
また、燃料電池実用化推進協議会や米国エネルギー省(US Department of Energy)などから提案されている膜/電極接合体(MEA)耐久性評価プロトコルの共通化も進めており、
燃料電池用新規材料の研究開発の裾野拡大と活性化を目指しています。
さらに、燃料電池電極触媒の劣化メカニズムを解明するために、発電状態を模擬した加湿空気雰囲気下で透過電子顕微鏡を用いてその場観察する技術の開発を進めています。
加湿空気雰囲気下での電極触媒観察