JARI 一般財団法人 日本自動車研究所

【ITSプラットフォームの要件に関する調査研究】



-ITSの情報基盤整備-
【ITSプラットフォームの要件に関する調査研究】

1. 研究の目的
 カーナビゲーションシステム、VICS、ETCなどに続くITSサービスとして、プローブ情報システムや狭域通信、路車間/車車間通信などを活用したさまざまなサービスの早期実用化が期待されている。また、今後の新しいサービスや製品の開発においては、多様なサービスに柔軟に対応できる仕組み(ITSプラットフォーム)を導入することにより、既存のサービスや新規サービスとの相互運用性を確保するとともに、ITSサービスの開発効率化を図ることが期待される。本研究では、ITSプラットフォーム構築の提案に向けて、その要件をとりまとめた。

2. 研究の概要
 平成16年度の検討でITSプラットフォームの対象として抽出した5分野41サービスの中から、平成17年度は、プラットフォーム化により早期にサービスの実現が期待される7つのサービスに絞り込み検討を行った。道路交通情報分野では、路車間通信による気象情報、路車間通信による路面情報、プローブ情報による道路交通情報、プローブ情報による気象情報、ビーコンからの規制情報、の5つのサービス、安全運転支援分野では、路車間通信による出会い頭衝突警報、車路車を含む車車間通信による出会い頭衝突警報、の2つのサービスである。

 アプローチとして、それぞれのサービスについて詳細化した車載SAを作成して要求仕様を検討、各サービスで共通に利用されている機能や情報を抽出してITSプラットフォームの要件とする方法を試みた。

 その結果、ITSプラットフォームを構成する機能や情報のうち、7つのサービス全てで用いられるものは、位置検知、位置補正、位置確定、地図管理、マップマッチング、情報の送受信の6つの機能と、車両位置、位置補正、地図情報の3つの情報であることがわかった。このほか、全てではないが複数のサービスに共通して用いられる機能や情報が存在することがわかり、それらはサービスの性能・品質レベルに応じてグループ化できることがわかった。

 本研究の結果、車載SAに記載された情報や機能をさらに詳細化することにより、設計・実装段階での検討のベースとなるプラットフォームを得ることが可能であることを証明できた。

 また、ITSプラットフォームの効果についての検証では、ITSプラットフォームに少数の機能や情報を追加すれば新規のサービスが容易に追加できることを確認、情報や機能のコンポーネントの集合体であるプラットフォームが、多数のITSサービスを効率よく作成するために必要なものであることを立証した。


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