JARI 一般財団法人 日本自動車研究所

【車両周辺障害物の電波反射特性に関する調査研究】



-ITS車載機器標準化のための要素機能と試験方法に関する調査研究-
【車両周辺障害物の電波反射特性に関する調査研究】

1.目的
 ISO/TC204/WG14の標準化項目「拡張後方障害物警報システム:Extended Range Backing Aid Systems(ERBA)」において検知領域確認用の標準ターゲットを検討するため、24GHzの連続波およびパルス(UWB)レーダに対する各種車両周辺障害物と標準ターゲット候補の反射特性を評価する。

(補足)ERBAは車両後方1mから5mの範囲の障害物を警報するシステムで、対象とする障害物は道路標識の支柱、人(成人、子供、幼児)、自転車、自動車、ブロック塀、縁石など様々なものが想定される。障害物はそれぞれセンサデバイスに対する反応(レーダ反射特性)が異なるため、これらを代表するのにふさわしい特性をもった標準ターゲットを選定する必要がある。

2.研究成果
 標準ターゲット候補として塩ビパイプとメタルチューブが挙げられたが、実験の結果、塩ビパイプは前面反射と透過後の後面からの反射による干渉を起こすという問題が判明した。次に、メタルチューブの直径を変えて反射特性を測定するとともに、20あまりの代表的障害物について反射特性を測定した。
 測定は、財団法人テレコムエンジニアリングセンターの電波暗室を使用し、床面などに電波吸収体を設置して不必要な反射波を抑制した。また、メタルチューブについては理論値との対比を行って実験環境の正当性を確認した。障害物の反射特性は向きによって異なるため、ターンテーブルで回転して測定している。
 本研究では、直径12.5、25および50mmのメタルチューブのRCS(Radar Cross Section:入射電力と反射電力の比で決まるレーダ断面積)を計測し、これと種々の障害物のRCSとを対比することにより、ERBAの標準ターゲットとして用いるのに適したチューブ径を検討するための資料を作成してWG14国内分科会に提供した。
 



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