第75回自動車技術会賞【技術開発賞】を受賞しました
2025/05/27
5月22日(木)第75回自動車技術会賞の授賞式がおこなわれ、弊所 安全研究部 佐藤房子主任研究員、谷口昌幸主任研究員らが【技術開発賞】を受賞しました。
対象となった研究成果:
頭部回転挙動に基づいた新たな脳傷害発生リスク推定手法の開発
受賞者:
佐藤 房子(安全研究部 車両安全グループ)
谷口 昌幸(同)
増田 光利氏(トヨタ自動車株式会社)
受賞となった研究概要:
自動車事故において脳傷害は発生頻度が高く、その社会的損失も大きいため、長年にわたり対策が議論されてきました。特に、頭部の回転挙動による脳のひずみが主な原因とされる脳震盪やびまん性軸索損傷は、従来の頭部傷害指標であるHICでは評価が困難であるとされていました。
この課題に対し、佐藤らは頭部の回転挙動による脳傷害発生メカニズムを考慮し、新たな脳傷害指標を選定、さらにその傷害確率関数を開発することで、衝突試験用ダミーを用いた乗員保護性能評価試験において、世界で初めて脳傷害の評価を可能としました。
この成果は2021年ISO TR 19222に採用され、2023年にはEuroNCAPのMPDB前面衝突試験、2024年にはJNCAPにも導入されるなど、国内外での成果活用が進んでいます。
本開発は脳傷害評価の実現に貢献し、乗員の安全性向上に寄与するとして高く評価されました。
左から、自技会中畔会長、佐藤主任研究員、谷口主任研究員、トヨタ自動車増田氏