あ行

エネルギー回生
   車の運動エネルギーを電気的エネルギーに変換して、電源などに帰還させることです。駆動力として電気モーターを用いている車では,制動時には電気モーターを発電機として作動させ、走行する車両の持っている運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーなどの補助電源に回収することが出来ます。従来は制動時に摩擦熱となって放出されていたエネルギーを、電気エネルギーとして有効利用することができます。
エネルギー効率
 供給エネルギーに対して、利用できる電気や熱量の比率のことです。一定の燃料で、どのくらい効率良く電気や熱量が利用できるかということになります。
温室効果ガス
   地球温暖化の原因とされている、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、フロンなどのことを差します。「京都議定書」では、二酸化炭素(CO2)、一酸化二窒素(N2O)、メタン(CH4)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類を温室効果ガスとして、削減の対象に指定されています。
 温室効果ガスは、太陽光の放射エネルギーのほとんどを通過させる一方で、地表面から生じる赤外線の放射熱を吸収して、地表の温度を上昇させます。このまま温室効果ガスが増えると気温が上昇し、地球温暖化が進むとされています。

か行

カーシェアリング
   複数人数で車を共有(シェア)して利用する仕組みのことです。15年以上前からヨーロッパを中心に盛んに行われている交通手段の1つで、経済的、環境的によいとされています。日本では経済産業省の外郭団体などが1999年に実証実験を始めました。現在、NPO法人(特定非営利活動法人)を含め、全国10数カ所で実施されています。
改質
 化学反応により、水素を含む他の物質や気体・液体から水素を取り出す(作り出す)こと。メタンやエタノールなど様々なものから水素が取り出せます。反応を早くするため,白金などの触媒を使います。
化石燃料
 大昔の動物や植物の死がいが、地下深くで変化したもので、石油、石炭、ガスなどを指します。化石燃料は埋蔵量に限りがあり、近年は化石燃料の枯渇が問題視されています。このままの使用量で進むと、数十年後には足りなくなるといわれているため、代替エネルギーの開発・実用化に世界の注目が集まっています。
キャパシタ
   電気を電気のままで蓄える装置のことです。電気を化学反応なしに、電気のまま蓄えられるため、充電時間が短く、充放電による劣化がないのが特徴です。
 コンデンサーとも呼ばれますが、コンデンサーが扱う電力に比べ大容量の電力を扱います。
クリーンエネルギー自動車
   石油以外から作られた燃料を使用したり、燃料を節約して、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などをあまり出さない低公害の自動車のこと。
 利用する動力源に違いがあり、電気自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、ディーゼル代替LPG車、燃料電池自動車などがあります。
個体高分子形燃料電池(PEFC-Polymer Electrolyte Fuel Cell)
   電気を通すための電解質が固体高分子膜と呼ばれる薄い膜でできている燃料電池のこと。常温?約100℃と低温で作動するため、オン、オフの切替が容易で、小型化しやすいのが特徴です。そのため家庭用、自動車用、携帯用に適しています。

さ行

酸性雨
   化石燃料などの燃焼で生じる硫黄酸化物や窒素酸化物などが、大気中で硫酸や硝酸に変わり、雨水に取り込まれた酸性の強い雨のこと。雪や霧などの湿性沈着や、ガスなどの形態で沈着する乾性沈着を合わせて酸性雨とする場合もあります。酸性やアルカリ性を表す「pH」が7で中性、7より上がアルカリ性、7より下が酸性となります。
ジェミニ5号
   1960年代アメリカにおいて、月着陸を目指すアポロ計画に必要な技術開発のために、ジェミニ計画が発足しました。1965年にジェミニ5号が発射されましたが、このジェミニ5号で初めて、宇宙船の電源用に固体高分子型燃料電池(米国ゼネラル・エレクトリック社製)が搭載されました。燃料電池の実用化の第一号です。その後、人類初の月面着陸を成功させたアポロ11号にも搭載され、現在のスペースシャトルにも搭載されています。
水素
   1766年にイギリスの化学者ヘンリー・キャベンディシュに発見された、地球上で最も軽い気体。無色、無臭、無害の最も単純な構造を持つ物質です。
 燃えやすい性質で燃焼温度は3000度。空気中の含有率が4~75%の範囲で着火します。燃えても炎はほとんど見えません。発火点は570度と高く、自然発火はしにくいといえます。
水素ステーション
 燃料電池自動車(FCV)に水素を供給するための施設。各種燃料をその場で改質して水素を作り貯蔵・供給するステーションと,外部から輸送した水素をその場で貯蔵し,供給するステーションがあります。
スタック
 固体高分子形燃料電池の最小単位であるセルをいくつも積み重ねた(直列につないだ)もの。1枚のセルの出力は限られているため、必要な出力が得られるよう、多くのセルを重ねて1つのパッケージにします。燃料電池スタック、またはFCスタックと呼びます。
セル
   固体高分子形燃料電池の最小単位。プラスとマイナスの電極板で固体高分子膜(電解質膜)をはさむ構造になっています。セルのプラス極(酸素極)とマイナス極(水素極)には数多くの細い溝があり、この溝を外部から供給された酸素と水素が電解質膜をはさんで通ることによって反応が起こり、電気が発生します。セル1つで発生する電気は約0.7ボルトです。
ゼロエミッションプロジェクト
 国連大学が提唱する構想で、ある産業から出るすべての廃棄物を新たに同じ産業もしくは他の分野の原料として活用し、あらゆる廃棄物をゼロにすることをめざすものです。新しい資源循環型の産業社会の形成をめざし、廃棄物を生み出さない統合化された生産を目指そうとするプロジェクトです。

た行

脱炭素
   薪や石炭、石油などの燃料には炭素や水素が含まれています。人類が一番最初に利用した燃料である薪は、炭素の割合が最も多い物質でした。文明・科学が発達し、主要エネルギーが石炭や石油に変わるにつれ、これらの燃料に含まれる炭素の割合は徐々に減少してきました。これを「脱炭素化」と呼びます。
 水素の比率があがるほど、エネルギー発生時に二酸化炭素(CO2)を排出しない、効率的でクリーンなエネルギー源として利用されていることになります。水素を単体で生成し、流通、利用を実現することが最終的な目標になるといわれています。
定置用燃料電池
   従来のように大規模な発電所で発電し、電気を送るのではなく、電気を利用する場所で発電させるための燃料電池。家庭用で1kW。小規模事業所や各種店舗用で5kW?10kW容量クラスといわれています。都市ガス、プロパンガス、ナフサ、灯油などの燃料から水素を取り出して発電します。
電気自動車
 ガソリンの代わりに電気をエネルギー源とし、バッテリー(蓄電池)に蓄えた電気でモーターを回転させて走る自動車です。ガソリンを燃料としないため排気ガスを出さず、走行騒音も大幅に減少されます。
電解質
 電気は物質内をイオンが移動することで発生しますが、電子を通さずにイオンのみを通す物質が電解質です。燃料電池には欠かせない重要なパーツです。
 電解質には固形や液体などいくつかの種類があり、イオンが移動(発電が開始)できる温度(作動温度)や発電の出力規模などによって異なる燃料電池があります。

な行

内燃機関自動車
   機関(エンジン)の内部で燃料を燃やし、動力を生み出す車のことで、一般のガソリンや軽油などで走行する車がこれにあたります。
燃料電池
   素と酸素の反応によって電気を得る装置のこと。外部から水素と酸素を供給することによって電力を得ることができます。ただし,一般の電池のように電気を蓄えることはできません。固体高分子形(PEFC)、リン酸形、(PAFC)溶融炭酸塩形(MCFC)、固体酸化物形(SOFC)などいくつかのタイプがあります。
 従来の化石燃料エネルギーに代わる次世代のエネルギーとして、大きな期待が寄せられています。

は行

バイオマス
   生物資源、生物燃料ともいわれ、化石燃料と対比する意味でも使用されます。
 木材や廃材などは木質バイオマスに含まれます。 バイオマスが注目される理由として、バイオマスを燃料やエネルギーとして利用する場合、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献できるためです。
 植物は、太陽のエネルギーを利用して光合成により、無機質な水や二酸化炭素(CO2)から有機物を生産します。これらを燃やすと放熱し、エネルギーとともにCO2が発生します。しかし、もともとこのCO2は大気中にあったものが大気中に戻っていくだけなので、大気中のCO2量は変わりません。
 このようにバイオマスは、化石資源のようにエネルギーとしても製品としても利活用でき、幅広い場面での利用が期待されています。
ハイブリッドカー
 内燃機関と電動モーターという2つの動力源を併用して走る車のことです。モーターによる静かな発進と、エンジンによる力強い加速という、それぞれのメリットを生かした車。内燃機関自動車に比べ燃費が良いのも特徴です。

ま行

メガパスカル MPa
   パスカルとは圧力を表す単位で、hPa(ヘクトパスカル)、kPa(キロパスカル)MPa(メガパスカル)などがあります。1paは、1平方メートルに1ニュートンの力がかかることを表し、100万paが1Mpsになります。1MPaは10気圧に相当します。
モーダルシフト
   現在、貨物輸送はトラックなど内燃機関自動車によって行われていますが、これらを環境負荷の小さい、大量輸送が可能な海運または鉄道に転換することをいいます。
 モーダルシフトの主なねらいとして、二酸化炭素(CO2)排出量抑制、エネルギー消費効率の向上、道路混雑問題の解消と交通事故の防止効果などが挙げられます。

英数字

J JHFCパーク
   水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC:Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)のテスト基地として2003年3月オープンし、試験データの収集を行うほか、燃料電池自動車(FCV)や水素エネルギーを学ぶショールームを兼ね備えた見学施設です。水素ステーションも併設されています。