JARI ITS研究部では、ITSの普及・促進に向けて下記の活動を行っています。
運輸部門におけるCO2削減に貢献するため、平成20年度から5年計画で「エネルギーITS推進事業(自動運転・隊列走行に向けた研究開発)」プロジェクトを関係15機関とともに新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託し、高速道路における自動運転・隊列走行技術の確立と省エネのための自動運転要素技術の開発をめざした研究開発を行っている。
平成21年度は、プロジェクト2年目として実験車両を製作するとともに、3年目の中間評価に向けて、個別要素技術の機能確認実験を行うとともに、全体システムとして、大型トラック2台で、時速80km、車間距離20mでの隊列走行実験を行い、急制動試験においても目標の制御精度を達成した。
また、隊列走行による省エネ効果について、CFDシミュレーションによるCd値計算結果から推定した走行抵抗低減効果と、隊列走行実験で得た燃費低減効果の実測値とを比較評価し、時速80km、車間距離8mで10%程度(3台平均)の省エネ効果が期待できることを示した。
今後、3年目の中間目標としての車間距離10mでの3台隊列走行、5年目の最終目標としての車間距離4mでの4台隊列走行に向けた技術開発を行っていく。
本FSでは、提供された情報に対する個々のドライバの行動変化も表現できる交通流シミュレータ、通信のプロトコルを表現する通信シミュレータ、電波伝搬シミュレータなどを安全運転支援のシナリオに従って同時に動作させる統合シミュレータのプロトタイプを構築した。この構築により、統合化シミュレータの技術的な課題を明らかにし、これを利用した様々なシミュレーション結果の検証方法、利用方法に関する検討を進めることを目的としている。
統合シミュレータのプロトタイプは以下の2段階で構築した。
(1)Phase1:既存のシミュレータ統合用のプラットフォームを利用して交通流、通信、電波伝搬シミュレータを統合する。これにより計算速度を評価し、高速化への課題を明らかにした。
(2)Phase2:通信シミュレータの内部に交通流、電波伝搬、さらにはドライバ運転動作のシミュレータを直接結合させ、統一的にイベントを管理する方法でプロトタイプを構築した。
Phase2で構築した統合シミュレータのプロトタイプの評価として
(1) 通信プロトコル部分のシミュレーター動作評価
(2) Phase1のプラットフォーム方式シミュレータと比較した場合の高速化評価
(3) ドライバの運転行動まで含めた動作評価
を実施した。これらにより統合シミュレータの実用化に向けた技術的な課題や評価のあり方についての知見を得ることができた。
次世代ロボット知能化プロジェクトは経済産業省が、確実性を持った自律的な活動に必要な知能化技術を開発することを目指し、2007年から5年間、7分野で公募したプロジェクトである。本研究は、この内、高速移動知能(公共空間分野)の開発に位置づけられている。
本研究では、高速移動体(ロボット、自動車等)が渋滞、危険地点などの周囲環境を認知し、複数の高速移動体間で情報を共有し、最適な判断・制御を可能とする汎用的な高速移動知能モジュールを開発(慶應義塾大学、アイシン精機)し、その有効性を実環境に近い環境下で、有効性(日本自動車研究所)を検証した。
2009年度は、複数(渋滞、燃費、危険地点)の交通状況認知、情報統合、情報流布、通信知能モジュール等を搭載した車載機で、研究所(つくば)構内並びに周辺に設定したコースで有効性を確認した。さらに、伊豆に設定したテストベッドで、上記に加えて交通支援知能を搭載した複数の車載機を使い、自ら認知した交通情報を周囲の車両と共有し、既存の交通情報と同等の交通支援情報として表示できることを検証した。一方、位置依存型配信を使うことで、知識の配信時間、通信等のリソース消費が削減できることをシミュレーションで検証した。
(1)自動車電子システムの海外動向調査
プローブ情報システムの普及、国際展開のためには、データ提供者であるドライバーが安心して情報を提供できるプライバシ、セキュリティ対策等の基盤を構築する必要がある。プローブ情報システムの実現に必要な匿名性、セキュリティの評価基準や、匿名認証方式及びセキュアな通信路のためのインターフェイス等を研究し、国際標準化を推進する。本事業は経済産業省から慶應義塾大学が受託し、日本自動車研究所はプローブ情報システムの匿名性、セキュリティに関する調査研究を受け持つ(再委託)。
2010年4月に国際標準として発行された「プローブ情報システムにおける個人情報保護に関する基本原則(ISO IS 24100)」での検討を踏まえつつ、2008年度の継続として、プローブ関連システムのプライバシ、セキュリティ仕様の調査を実施した。対象としては、欧州で研究開発が進められている車両通信に関するセキュリティ・プライバシの包括的な検討プロジェクトSEVECOMの技術仕様書に関する2008年の調査に引き続き、それをさらに詳細化しているプロジェクト、Preciosa並びにEVITAを選定した。調査の結果を、プローブ情報システムの匿名性評価基準の検討に反映した。
2009年度までの検討の成果、並びに関連する分野の最新状況を広く一般に紹介するワークショップを開催した。
現在、ITSはカーナビやETCに代表される単体のサービスは順調に普及しているが、その一方では道路交通の安全性向上・環境改善・利便性の向上といった本来のITSの目的に対しての成果はまだまだ十分とは言えない。こうしたITS産業の現状を把握し、今後の発展に向けての課題を抽出するため、ITS関連企業、関係省庁、関係団体などに対してインタビュー等を行い、独自の分析を加えた上で、ITS技術や産業に係る現状と課題、今後の発展の方向等についてまとめた。
調査分野としては、カーナビ、ETC、安全運転支援システムなど従来の分野の調査を継続するとともに、新しい動きとして注目される、自動車の電動化(EV・HEV)やITS関連の実証実験の動向、自動車の電子化(車載電子システム)や協調システムに関わる国内外の技術動向等、今後のITS発展の切り口となりそうな分野の調査を加えた。また、最近の景気動向や環境指向に伴い、先行き不透明になっている自動車そのものの市場動向に関しても、今後のITS市場予測の前提となるため検討を行った。
作成した報告書については、その成果を広く関係者に利用していただくため、関係者に広く配布するとともに、一般にも頒布し、成果の活用に努めた。