インタビュー第8回 水素社会実現に向けて!ガソリンスタンド併設型の市原水素ステーション誕生!

水素社会実現のためには、水素インフラの整備が必要不可欠。特に、クルマがガソリンに代わって水素を燃料として走るようになるためには、全国各地に水素ステーションができていかなければなりません。既存のガソリンスタンドがその役目を果たしていくようになるのが最も効率的だと、だれもが思うところでしょう。2006年12月、日本で初めてガソリンスタンド併設型の水素ステーションが、千葉県市原市に誕生しました。所長を務める出光・新規授業推進室の三浦康彦さんに、開所までの経緯と、今後の水素ステーションのあり方についてお伺いしました。

1 法改正で開設へのハードルは緩やかになったが、
安全基準はより厳しく
2 水素で走る車が増えていくと、
スタッフの教育と水素の供給量が課題
3 水素ステーションを基地として、水素、電気、熱を供給する
『マイクログリッド』へ

法改正で開設へのハードルは緩やかになったが、安全基準はより厳しく

日本初のガソリンスタンド併設型の水素ステーションは、どのようにして誕生したのですか?
三浦康彦

平成17年4月に法改正があり、規制緩和の方向に進んだことが大きかったですね。水素ステーションというのは、ガソリンスタンドよりも規制が厳しいんです。

ガソリンスタンドであれば、消火器の準備など消防法の安全基準をクリアすればいいわけですが、水素ステーションの場合は、消防法以外にも高圧ガス保安法や建築基準法などで、以前は厳しい規制があった。

それが緩和されたことで、今後、水素インフラの普及が前進していくのではないでしょうか。

出光GS法改正のポイントは3つありまして、1つはガソリンスタンドに併設してもよくなったこと。今までは消防法と高圧ガス保安法の兼ね合いで距離を取らなければならず、同じ敷地内には作れなかった。これは大きいですね。だれが考えても、ガソリンスタンドが水素ステーションに置き換わっていくことが一番良いわけですから。

ガソリンスタンド併設のメリットとしては、まずは建設の用地が新たに必要ないということ。また運営を共同化していくことで人件費も安くなりますし、電気や水などの共益費も共用化して、コストダウンが見込まれる。また、水素製造設備を持つオンサイト型であれば、原料となる灯油をGSからもらえるというメリットもあります。

もう一つは、今まで水素ステーションは工業地域にしか作れなかったのが、市街地すなわち商業地域や準工業地域にも作れるようになったことです。当水素ステーションは準工業地域に建っていますから、これも法改正のおかげです。今後は商業地域とか、街中にもできていくのでしょう。

そして最後に、高圧ガス製造保安責任者の有資格者が常駐していなくても、連絡がつくところにいればよくなったこと。これによって、ガソリンスタンドと同じように、有資格者でなくても充填できるようになります。現在は2人でやっておりまして、2人とも資格は持っていますが、将来的にはガソリンスタンドのスタッフたちにも手伝ってもらおうと思っています。

出光GSただし、そうした規制が緩和されたのは確かですが、逆に安全基準のレベルは今までよりも上がっています。ガソリンスタンドに併設しているわけですから、片方で火災が出ても、片方に影響が出ないように壁をきちんと設けるだとか、市街地に作って万一爆発があっても被害を出さないような構造にしなければならないだとか、そこはむしろ厳しくなっている。当水素ステーションでは、壁はコンクリート製で厚みが15cm、中には鉄筋を入れて、相当に頑丈にしてあります。

もともと水素ステーションを作るのは、安全設備だけでもガソリンスタンドより厳しくなっているんですよ。消火器だけでなく散水設備が必要だったり、色も臭いもありませんから、漏れを事前に危険を検知する設備も必要になります。だから法改正があったからといって、単純にガソリンスタンドに併設していけるということでもないんです。

そうした新しい安全基準をクリアし、国内初のガソリンスタンド併設型水素ステーションとして開所したのが2006年12月です。水素ステーションというのはまだ全国で10数ヶ所しかなく、ましてガソリンスタンド併設型となるとここしかないわけですから、現在はいろいろと安全面の研究をし、そのデータを出しているところですね。

もちろん安全は十分に確保しているつもりですが、何年か運営して、実際に問題ないということが実績になるわけですから、ある程度長期間の運営実績が必要だと思っています。

2 水素で走る車が増えていくと、スタッフの教育と水素の供給量が課題