インタビュー第7回 地球の未来を守ることが、人間の使命。今が人間の進化の第二段階

「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」など、未来の宇宙を舞台にしたアニメーション作品で知られる漫画家、松本零士さん。カッコいいメカが活躍するSF作品でありながら、一方では文明によって自滅していく星の姿を繰り返して描き、行き過ぎた文明や環境問題にも警鐘を鳴らしています。その松本さんに、宇宙のことからエネルギー問題のこと、そして未来のクルマのことまで、いろいろお話をうかがってみました。

1 地球の未来を守ることが、母なる大地と海から与えられた人間の使命
2 今が人間の進化の第二段階。
その進化の過程として水素や燃料電池がある
3 未来のクルマは安全第一。
免許もいらなくなったときがクルマの本当の進化

地球の未来を守ることが、母なる大地と海から与えられた人間の使命

宇宙や環境に興味を持ったきっかけは何ですか。
松本零士

もうそれは子供のころから。私は田舎で育ちましたから、今とは違って夜ともなると星がすごくきれいなんですね。そうした星々をながめながら、宇宙の姿を想像するのが好きだったんですよ。

そこから小学校6年生のとき、「大宇宙の旅」(※1)という本に出会ったんですね。これは“限りある宇宙”という、アインシュタインの理論に基づく閉じた宇宙論の本です。この本で初めてビッグバンを知り、宇宙というのは奥行きがあり…つまり重力=時間であり、電磁波が全宇宙をウェーブで覆っているとか、宇宙の構造を知ったんです。それが本当の意味で宇宙に目覚めたきっかけでしたね。

大宇宙の旅

※2006年7月に恒星社厚生閣より復刻版が発売され、松本零士先生が表紙を担当している。

そうすると、星空を眺めていても奥行きが出てくるんです。われわれが見ているのは、すべて過去の光ですね。太陽系の中だってズレがあって、われわれの目に見える太陽は、実は8分前の位置だという。現在の光はまだ届いてこない。宇宙を見上げていても、その星は既にあるのかないのか分からないし、生まれていても見えてない星だってある。そういう奥行きを、ものすごく実感できたときに、「そこを飛びたいと」いう必然的で、強烈な夢が生まれたんです。それにはロケットや宇宙船がいるなと。そこがSF漫画家・松本零士の出発点ですね。

地球を火星のような“死の星”にしてはいけない

等身大フィギュア

ファンにはたまらない等身大フィギュアもありました。

私は子供のころは山で暴れ、海へ飛び込みしていた野生児でしたから(笑)、そもそも自然への愛着が人一倍あるんですよ。でもちょうど、私が成長してきたのは日本にとっての高度成長時代と重なってまして、自然破壊や環境汚染、公害だとか、そういった問題がどんどんひどくなっていった。今ではわりと、日本では各企業がその辺は敏感になっていますけども、世界全体で見ると、やっぱり環境破壊は進んでいるし、年々、地球温暖化というのを肌で感じるわけです。たかだか私が生きてる間でこのありさまでは、100年単位、千年単位で考えたら、相当ヤバいことになるなと。

仕事や旅行でアフリカやアマゾンに行ってみて、あの静寂、澄んだ空気に触れると愕然としますね。ああ、何てわれわれ人類は、地球を騒がしくし、また汚しているのかと。ケニアのサバンナを見たことはありますか? 火星の写真とそっくりなんですよ。酸化鉄ですから赤くて、わずかに草が生えてるだけの差で、石の格好までそっくり同じ。地球も火星も変わらんじゃないかと。ちょっとした環境の変化でああなる。地球をそうさせちゃいけないと。

地球の未来を守るのが、人間の義務のはずなんです。人間というのは、生きとし生けるもののすべてを守る、その使命とひきかえに知力を与えられた生物だと。神様云々とは言いませんよ。それは大地と海が与えてくれた知力であり、母なる地球が与えた使命だと、そう思っています。

2 今が人間の進化の第二段階。
その進化の過程として水素や燃料電池がある