FCV最前線第7回 EVS23米国カリフォルニア州におけるFCV
今回はJHFCスタッフが2007年12月2日(日)~7日(金)にかけて、米国カリフォルニア州で開催されたEVS23(第23回国際電気自動車シンポジウム)をレポートします。 併せて、CaFCP(California Fuel Cell Partnership)を訪問したヒアリングの様子や、カリフォルニア大学アーヴァイン校(University of California, Irvine 以下UC Irvine)の水素ステーション、SMUD水素ステーション(カリフォルニア州サクラメント)訪問の様子もお伝えします。
期 間: 2007年12月2日(日)~7日(金)
訪問先: 12月2日~5日 EVS23(カリフォルニア州アナハイム)
12月4日 UC Irvine 水素ステーション(カリフォルニア州アーヴァイン)
12月6日 California Fuel Cell Partnership(カリフォルニア州サクラメント)
12月6日 SMUD 水素ステーション(カリフォルニア州サクラメント)
目的: 広報の観点での、EVS23 展示方法や試乗会の内容の調査とCaFCPの広報担当者と情報交換を行いました。
レポート: (財)日本自動車研究所 FC・EV研究部 渡辺知絵
1 EVS23 展示会
2 試乗会(RIDE & DRIVE)
3 California Fuel Cell Partnership(CaFCP)ヒアリング
4 UC Irvine 水素ステーション(カリフォルニア州アーヴァイン)訪問
5 SMUD 水素ステーション(カリフォルニア州サクラメント)訪問

EVS23 会場 アナハイム・コンベンションセンター

第23回国際電気自動車シンポジウム(EVS23)は、ディズニーランドで有名な街、米国カリフォルニア州アナハイムで開催されました。 会場は米国らしい非常に大きな会議場「アナハイム・コンベンションセンター」で、バスケットボール試合が行われるアリーナが隣接しており、通りを挟んだお隣はディズニーランドカリフォルニアリゾートというエンタテインメント色の強いエリアです。 1階は展示会、2階~3階はメインのシンポジウム、ワークショップなどの講演会、屋外駐車場では試乗会が開催されていました。

アナハイムコンベンションセンター 会場前プロムナード
アナハイムコンベンションセンター 会場前プロムナード

開催日はちょうど感謝祭週末を終えたばかりで、米国ではクリスマスシーズン突入の時期でしたが、アナハイムはクリスマスを連想しがたいほど温暖で昼間はT シャツ一枚でも十分なくらいの陽気でした。

登録者受付 展示会入り口
登録者受付 展示会入り口

EVS23 展示会 12月2日(日)~4日(火)

初日はパブリックデーで、次世代自動車に関心の高い一般市民やこども達で賑わっていました。 2日目、最終日は会議参加者がメインで、それぞれのブースで熱心に情報を収集する姿が見受けられ、開催模様を伝える地元メディアの取材も多く見られました。 規模的にはEVS21(モナコ)とEVS22(横浜)のちょうど中間と言ったスケールの会場は、1階に5つあるホールの一つを借り切ったもので見易い小間割となっていました。 展示会と試乗会には大小計125社が参加していました。

講演会セッションの内容からも伺えましたが、今回のEVS23 は燃料電池自動車(以下FCV)よりも、プラグイン・ハイブリッド電気自動車(以下Plug-in HEV)が大きく表に出た形の展示会でした。 米国内の流れからかもしれませんが、10年先のFCVよりも、明日から走行できる(できそうな)Plug-in HEVに大きな期待が掛かっているようです。

展示会では、自動車メーカのブースより電気自動車部品や電池関係企業の出展が大半を占めており目立っていました。 前回のEVS22から1年余りしか経っていないのに、大分流れが変わってきたように感じました。余談ですが、会場にいた米国人参加者からは、「FCV に本気で取り組んでいるのは、トヨタとホンダだけのように感じる」という声も聞こえてきました。 今回のEVS23の主役はFCVではなく、明らかにPlug-in HEV、EVでしたが、本レポートでは、FCV をクローズアップして紹介します。

General Motors

会場に入って直ぐの真正面に位置しているのは、やはり自国での存在の大きさを伺わせるGMでした。 既に米国で100台以上走行している70MPa 仕様のFCV「Equinox」とデトロイトモーターショーで発表された、Plug-in HEV「Chevrolet VOLT Concept」が並んで来場者をお出迎え。 「Chevrolet VOLT Concept」は、GMが次世代の駆動システムとして位置付ける「E-Flex」と呼ぶハイブリッドシステムを搭載しており、様々な燃料に対応するコンセプトらしいです。 このシステムは搭載した2次電池を家庭用電源に接続して充電しEVとして走行することができるそうで、2次電池の残量が無くなってきた際にエンジン走行に切り替えるのではなく、エンジンで発電機を回しその電気で2 次電池に充電してモーター走行を続けるというシリーズタイプ。 今後は、バイオ燃料対応するようエンジンをディーゼル化したり、エンジンの代わりに燃料電池に置き換えることも考えているとのことでした。

日本では未だお目見えしていないEquinoxは試乗会にも出品されており、これぞアメリカ!というような大きな車体で存在感を出していました。 他には、E85-ガソリン対応のHEV「GM Flex Fuel Vehicle GMC」などが展示されていました。

登録者受付 展示会入り口
Chevrolet Equinox Fuel Cell Chevrolet VOLT Concept
登録者受付 展示会入り口
Chevrolet VOLT Concept E-Flex 燃料電池に置換え

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Daimler

会場入り口直ぐでGMの隣に位置していたのはDaimlerで、四方からバランスよく見えるレイアウトで多様な燃料で走る環境に配慮した車両を紹介していました。 先般の東京モーターショーでも走行していたF-Cellや、ディーゼルハイブリット電気自動車、目新しいところで出るべくして出た小さくて可愛らしいSmartのPlug-in EVなどが鎮座していました。 最新FCV「F500」は無いものの自社のバラエティーに富んだ取組みを効果的に紹介していました。

S-400(Diesel HEV) F-Cell
S-400(Diesel HEV) F-Cell
Smart (Plug-in EV) Daimler ブースの様子
Smart (Plug-in EV) Daimler ブースの様子

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ホンダ(米国)

他社がPlug-in HEVを大きく取り上げる中、唯一FCVをど真ん中にすえて勝負していたのがアメリカン・ホンダ。 GMの後方に設えたシンプルなブースの主役は先般のロサンジェルス・モーターショーで発表した最新FCV「FCX CLARITY」で、存在感たっぷりでした。 ホンダはアメリカ国内でもFCXのテレビCMを複数放送しており、ブース内のモニターではそれ等をゆっくり鑑賞できるラウンジスペースが設けられていました。他にはCivic HEVが展示されていました。

S-400(Diesel HEV) F-Cell
   
FCX CLARITY Civic Hybrid
FCX CLARITY Civic Hybrid

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トヨタ

会場中央に大きなブースを構えたトヨタは、Plug-in HEV 3車種(Prius、Camry、LEXUS)とFCHV(70MPa仕様)カットモデルと先駆者らしい充実した内容で展開していました。 注目を集めていたのは3車種揃った旬のPlug-in HEVでしたが、図解パネル、説明映像付きでタンクも真二つに切った大胆なFCHVカットモデルは、ひときわ目立っていました。 FCHVは講演会でも航続距離増大、燃費向上が報告され、来場者の関心を集めていました。

S-400(Diesel HEV) F-Cell
トヨタブース Plug-in HEV プリウス
FCX CLARITY Civic Hybrid

FCHV(70MPa)カットモデル

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FORD

米国三大自動車メーカであるFORD は、Edge(燃料電池+バッテリー/HySERIES)1台のみの展示で、GM、Daimler に比べると小さな規模での展開でしたが、 車体付きの展示パネルは分かり易く、取組み紹介のパネルも情報は多かったです。

S-400(Diesel HEV) F-Cell
   
FCX CLARITY Civic Hybrid

Edge Plug-in Hydrogen Hybrid(燃料電池+バッテリー/HySERIES)

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その他自動車メーカについて

米国開催ということで、いわゆる米国BIG 3であるGM、FORD、Damiler(Chrysler)が存在感を出した展示を行っていましたが、その反面気になったのはVolkswargenを始めとする欧州勢や、米国でかなりの台数を販売している韓国Hyundaiなどが無かったこと。 米国のFCV実証試験にも積極的に参加している日本の自動車メーカー、日産の出展がなかったのも残念でした。

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A123

米国マサチューセッツ州にあるA123社は、ベンチャーから始まり、今では中国に工場を持つ急成長した電池メーカです。 先述のGM Concept Chevy VOLT の2次電池のセルは同社のものを採用しており、様々な電池開発の取組みの紹介を行っていました。

S-400(Diesel HEV) F-Cell

A123 ブースの様子

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Fuel Cell Store

面白いところでは、燃料電池の学習教材を販売する企業のブースがありました。FCVと太陽光で水素を発生させるミニ水素ステーションのおもちゃや、かなり元気よく走るFCV ラジコンなどが実際に遊べるようになっていました。学習ビデオも数種類あり、どういった教材が市場に出ているかを調べて、今後JHFCの広報活動でも役立てられれば、と思いました。

S-400(Diesel HEV) F-Cell

Fuel Cell Store ブースの様子

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Next2 試乗会(RIDE & DRIVE)