FCV最前線第3回 HONDA FCX

2004年11月、本田技研工業株式会社(以下Honda)は、世界で初めて氷点下始動を可能にした燃料電池自動車『Honda FC STACK』搭載『FCX』の販売をニューヨーク州政府と合意。12月に納車しました。そして同時に、家庭用水素供給システム『HESII』の実験も同州において稼働しました。燃料電池自動車開発の実績を重ねている世界のHondaが、将来の実用化・大量普及を見すえている中での現況、さらに高い目標に向かって進化し続ける『FCX』の今後の展望などをご報告します。

1 環境車としての可能性
2 人と時代と共に走る車
3 『Honda FCX』に託す夢 -未来に向けて-

環境車としての可能性

2002年7月世界初米国政府認定取得した「FCX」

2002年7月世界初米国政府認定取得した「FCX」

「HESII」と「FCX」

「HESII」と「FCX」

ニューヨーク州知事パタキ氏とアメリカン・ホンダモーター社長近藤広一氏

ニューヨーク州知事パタキ氏とアメリカン・ホンダモーター社長近藤広一氏

1999年に初公開された「FCX-V1」(1999)

1999年に初公開された「FCX-V1」(1999)

Honda FC STACK搭載「FCX」北海道中富良野にて氷点下始動テスト

Honda FC STACK搭載「FCX」
北海道中富良野にて氷点下始動テスト

「XTERRA FCV」の前で小泉首相と握手する日産のカルロス・ゴーン社長

「Honda FC STACK」搭載燃料電池車「FCX」屋久島でのテスト走行

Hondaは、2002年12月、『FCX』を日本の内閣府及びロサンゼルス市に納車して以来、日本国内では首都圏において、米国ではカリフォルニア州で販売を行ってきました。

今回、合意が成立したNY州での販売は、今まで困難とされてきた、冬期に氷点下になる寒冷地での使用が実証されたことでもあり、同時に販売エリアが拡大され、Hondaが目指す本格的大量普及への道が大きく開かれたことになります。

大気汚染や地球温暖化、化石燃料の枯渇などといった環境問題に対応し、天然ガス車、電気自動車、ハイブリット車と低公害車開発に取り組んできたHonda は、1980年代から、燃料電池の基礎研究に着手、水素を燃料にして走る次世代型燃料電池自動車『FCX』の開発を続けています。

「水素を車の燃料に」という課題は、多くの自動車会社の技術ターゲットとなっていますが、ここに、Hondaならではの理念に基づいた、燃料電池車開発の歴史があります。 それは同時に、創設以来受け継がれてきた「モビリティの楽しさを次世代に受け継ぐ」という考え方でもあります。

その考え方を語ってくださったのは、本田技術研究所・和光基礎技術研究センター・上席研究員である川口祐治さん。川口さんは入社以来、ガソリンエンジンの設計・研究開発に従事、様々な機種・商品の先行開発に携わってこられ、1991年、電気自動車パワープラント開発室マネージャーを勤めた後、5年間の米国駐在を経て燃料電池車の基礎研究に着手、2000年から『FCX』の開発に力を注がれている燃料電池開発のパイオニアです。

1999年に、最初の実験車「FCX-V1」「FCX-V2」を公開して以来、歴代の『FCX』実験・実証を繰り返してきたHondaは、2004年2月に、『FCX』の氷点下における始動を北海道にて実証、同時に公道走行テストを実施。4月からは屋久島及び米国での公道テストを行い、7月に米国政府認定取得を実現しました。

「このたび実現したNY州への納車は、今年7月、当社内製スタック搭載車が米国環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)とカリフォルニア大気資源局(California Air Resources Board:CARB)両官庁の認可を取得した結果、NY州当局とのリース契約が成立したもので、米国で販売するために必要なEPAとCARBの認定を取得している燃料電池車は『FCX』のみです。 11月16日、州都アルバニー市にて、州政府と共同で現地発表を行いました。『FCX』の実用化は、米国北東部州では初めてのことですが、低温での起動に優れるHonda内製スタックの技術実証により可能となったのです。 NY州は州都で州政府関係者が業務用に使用し、走行地域は州都周辺の予定です」(川口さん)。

さらに、水素社会全体の未来図も描いているホンダは、今回の納車と同時に、家庭用水素供給システム、ホーム・エネルギー・ステーション(HES)、『HESII』の実証試験も開始しました。

「プラグパワー社(NY州)と共同開発を行った『HESII』は、Honda R&Dアメリカズ、ロサンゼルス研究所に設置した『HES』の改良版で、コジェネレーション機能を持つ家庭用水素ステーションの実証試験です」(同)。

HESは、天然ガスから水素を発生させ、燃料電池車に水素燃料を供給すると共に熱と電力を供給します。 『HESII』は2世代目モデルで、初代は2台のコンポーネントで構成されていましたが、天然ガスの改質や加圧装置を小型化し、1台のコンポーネントにしたことで全体の容積を半分以下にし、小型化を実現たものです。 この『HESII』は、NY州プラグパワー社本社内に設置されます。

水素の実用化に向けての実験・実証は、将来的には家庭内エネルギーの改革にもつながり、車社会はもとより、クリーンな社会を目指す第一歩、環境保全への活動を続けているHondaの基本姿勢でもあります。

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