
出典:C&I 1996年Vol.9より
SRSエアバッグの「SRS」とは、Supplemental=補助 Restraint=拘束 System=装置の頭文字をとったものです。
SRSエアバッグは、衝突時に乗員の上半身、特に顔や頭部を風船状のバッグで受け止め、ハンドルなどに衝突するのを防いでくれる安全装置です。
センサーが衝撃を感知してからこのバッグが膨らむまでの時間は約0.02秒。さらにしぼみはじめるまでの一連の作動時間さえも、人間がまばたきするよりも早い約0.1秒という驚くべきスピードです。
ただし、エアバッグが本来の効果を発揮するのは、あくまでもシートベルトの補助装置としてです。
また、このエアバッグが確実に作動するにはいくつかの条件があります。前面衝突の場合では、その作動範囲は正面左右30度まで、かつ衝突速度が時速20~30km以上の時に開くように設定されています。
したがって、それ以下の速度の場合、および追突や斜め及び側面衝突では作動しません。
当然の事ながら、一度開いてしまえば、さらに車体が衝突を繰り返しても(二次衝突)、もうその際には効果がありません。 実際に、ハンドル操作を誤った車が縁石に衝突し、エアバッグが開き、その後に側壁へ激突したが、エアバッグの緩衝効果はなく、直接(一次)衝突ではエアバッグとシートベルトによる効果が期待されたケースで、乗員が亡くなったという事故例があります。

出典:C&I 1996年Vol.9より
左の写真は必ず安全装備を着用する模範的なドライバーの姿としてシートベルトを着用して、時速50kmで車体前面幅の半分を壁に衝突するオフセット前面衝突実験例です。
その結果、シートベルトにより乗員の体がしっかり拘束されたことで、腰部がシートに沈み込み、膝部も前方にあるダッシュボードに当たることなく、エアバッグが乗員の頭部、および顔面をしっかり受け止めていることがわかります。
仮に「事故に遭っても、エアバッグがついている車だから大丈夫」といって、シートベルトを締めないで、同じ実験を行ったら、どういう結果になるでしょうか? 次の「シートベルト非着用時のエアバッグの使用例」にて説明します。

出典:C&I 1996年Vol.9より
左の写真は「仮に事故に遭っても、エアバッグがついている車だから大丈夫」といって、シートベルトを締めないで、時速50kmで車体前面幅の半分を壁に衝突するオフセット前面衝突実験例です。
このケースでは、膝がダッシュボードにあたり、この膝を支点に上体が浮き上がるようにして頭部をフロントガラスに激突させる結果になり、エアバッグの緩衝効果が少なかったことがわかります。
本来ならエアバッグが頭部及び顔面を受け止めるはずですが、この事例では乗員の頭部分はエアバッグに拘束されず、エアバッグが作用したのは胸部だけなのです。
以上、シートベルト着用の有無の比較実験結果でわかると思いますが、エアバッグがついている車でもシートベルトをちゃんと締めなくては事故時のエアバッグの効果が望めないことがわかります。
従って、車に乗るときは、シートベルトは必ず、締めましょう。