
私たち人間は、そよ風のささやきも、ロケットの爆音も聞くことができます。これを音の大きさ(圧力)で見てみますと、実に100万倍もの違いがあります。人間の耳は、小さい音には鋭敏に、大きい音には鈍くなるよう自動調整される優れた特性を備えています。このような特性は数学的には対数的な特性と考えられます。そこで音の大きさを表す単位として、一般に対数的な値が用いられています。この数値がデシベル(dB:dが小文字、Bが大文字)と呼ばれ、航空機、鉄道、道路などの騒音を扱ったニュースのなかで良く耳にします。ところが、このデシベルは、次式のように、対象の音が基準の音の何倍であるかを対数表示した値であるため、誤った使われ方や誤解を生むことがあるようです。

80デシベルの騒音の車が2台走っていたら、全体の騒音は何デシベルになるでしょうか?単純に80+80=160デシベルとしたいところですが、これは間違いです。いろいろな騒音の大きさをデシベルで表すと上の左図のようになり、160デシベルの音なら鼓膜が破れてしまうかもしれません。
80デシベルの車が2台走っていたら、全体の騒音は83デシベルにしかなりません。複数の音の騒音レベルの合計を求めるには、以下のような面倒な計算を行う必要があります。この式のL1、L2に80デシベルを入れて計算すれば答えは83デシベルになりますが、まずは、音のエネルギーが2倍になると3デシベル増加すると覚えておくと良いでしょう。
道路の騒音規制が70デシベルから67デシベルに強化されたとしましょう。これを70-67、たった3デシベル、わずか4%の強化と読んではなりません。実は、3デシベルの強化はエネルギーで1/2、つまり交通量を半分に減らせと言う厳しいものなのです。このあたりの関係をまとめて表に示しておきます。
一方、表にも示してあるように、音の大きさが半分(すなわち-3dB)になっても、人間の耳にはかろうじて差がわかる程度の変化しかありません。半分くらいの音になったと感じさせるには、-10dBの騒音対策を行う必要があります。これはエネルギーで見ると音の大きさを1/10に減らせということで、対策を行う側にとっては大変厳しいものがあります。
| dBの差 (dB) |
音のエネルギー (倍) |
dBの差 (dB) |
音のエネルギー (倍) |
感じ方 |
|---|---|---|---|---|
| -3 | 1/2 | 3 | 2 | かろうじて差が判る |
| -5 | 1/3 | 5 | 3 | はっきりと差が判る |
| -5 | 1/10 | 10 | 10 | 2倍の差に感じる |
| -20 | 1/100 | 20 | 100 | 大差があると判る |