厳しい排ガス規制により自動車から排出される物質は大幅に減少しています。しかし、依然として黒い煙をモクモクと出しながら走っている車があることも事実です。いま、ディーゼル自動車から排出される粒子状物質(PM)に目が向けられています。PMの削減を中心とした今後のディーゼル車排出ガス対策が東京都から提案されています。この対策として注目されているのがDPFです。DPFはディーゼルパティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter)の略で、ディーゼル自動車から排出されたPMを排気マフラと交換したDPFで捕集して、大気に排出されないようにする後処理技術の一つです。
DPFのアイデアはそれほど目新しいものではありません。日本国内では、昭和63年度から平成8年度までの9年間に、自動車用として大型路線バス用システムが開発されました。東京都や横浜市の公営バスで実証試験が行われ、実用化の可能性が明らかになりました。
平成9年度からは自動車部品関連メーカも加わり、7種類のシステムを5自治体の都市内路線バスに装着して実証試験が行われました。
一方、路線バス以外の各種のディーゼル自動車に装着できるDPFシステムとして、平成9年度からは塵芥車を想定した小型・中型トラック用システムの開発に関する調査が行われました。
5自治体の塵芥車による実証試験等により、耐久性・信頼性の高いシステムであることが明らかになりました。これらは全て捕集したPMを600℃以上の温度で燃焼させてフィルタを再生する方式です。
現在はこのような高温で再生するDPFシステムの他に、触媒反応を応用した小型、軽量で安価な連続再生方式のDPFシステムの研究開発が進められて、積極的に登用される方向で検討されています。また、自動車用の他にトンネル工事に使用する建設車両用のDPFも開発されていますが、ここでは説明を省きます。
DPFによるPM浄化の模式図を下図に示します。出口を封鎖された通路に入ったPMを含むエンジンからの排出ガスは、フィルタ壁の微細な孔を通過して隣の通路に抜ける際に微粒子が捕集されます。フィルタには微粒子が濾過できる耐熱性の高い材料として、セラミックスまたは金属多孔体などが使用されています。炭化珪素(SiC)のフィルタの場合では孔径は10ミクロン程度です。
これまでに路線バスや塵芥車で実証試験を行ったDPFシステムでは、複数のフィルタを交互あるいは順番に捕集・再生を行う間欠捕集・再生方式と、1個のフィルタで捕集しながら再生を行う連続捕集・再生方式が用いられています。いずれの方式も、フィルタで捕集したPM中の黒煙をヒータ等の熱源で600℃以上にして燃焼させて再生しています。間欠捕集・再生方式では一方のフィルタがPMで一杯になって目詰まりをおこす前に別のフィルタに切替え、他方で捕集している間に電気ヒータによって600℃以上の温度でPMを燃焼させてしまいます。連続再生方式では、再生用熱源としてバーナーや触媒燃焼器が使用されています。


酸化触媒あるいは燃料添加剤の化学反応を利用した、低温で連続再生させるDPFシステムが実用化されつつあります。このシステムはシンプルで小型化できるので、使用過程車のマフラーと交換する場合でもそのままの位置に装着できます。また、電気系統あるいは燃料系統のDPFに付随した工事が不用であり、コスト全体が安価になる可能性があります。その多くの特徴から、将来的にはDPFの大半が将来型システム(連続再生方式)になると考えられます。
下図に酸化触媒を用いた連続再生方式の代表的なシステムを示します。酸化触媒と目封じをしたフィルターが直列に配置されています。酸化触媒で排気中のNO をNO2にし、そのNO2でフィルタに捕集されたPM中の黒煙(C)を酸化・浄化します。ただし、このシステムでは燃料が低硫黄(50ppm以下)であることが必須の条件です。
別の方式として、燃料添加剤の化学反応を利用してPMを低減するDPFシステムもあります。2000年春にフランスの乗用車に装着して市販されています。フィルタに捕集されたPMは高負荷域では高温の排ガスを利用した触媒反応により再生しますが、低負荷域ではエンジンの燃焼制御と燃料添加剤の働きで再生するようになっています。ただし、エンジンの制御を含むシステムのため、新車から装着されることになり、使用過程車に装着することは困難です。

DPFを装着しているかどうかは自動車の外観を見ても分かりません。では、どうすればDPFの効果を確認できるのか、排気管から黒煙がほとんど排出されないDPFを装着したディーゼル車を見たい方にその方法をお教えします。場所はまだ限られていますが、以下の地域であれば観察出来ます。