知りたい!くるまのこと「くるま学園」

石油だけが燃料じゃない(ガス燃料自動車の話)

ガス燃料自動車とは?

ガス燃料自動車は環境負荷の低さや石油代替といった観点から注目されています。
現在、自動車用に実用化又は研究開発されているガス燃料として、以下のようなものがあります。

  • 天然ガス
  • ジメチルエーテル(DME)
  • LPG
  • 水素

当研究所では、このうち天然ガス及びDMEを燃料とした自動車の研究・開発を行っております。

天然ガス自動車

天然ガスとは

メタン(CH4)を主成分とする低公害な燃料。一般的には都市ガスとして知られています。

天然ガス自動車の分類

天然ガスの搭載方法により次のような種類があります。

圧縮天然ガス(Compressed Natural Gas:CNG)自動車

天然ガスを200気圧に加圧し、圧縮して気体で搭載します。
現在日本国内では約7,800台(2001年3月末現在)が普及しています。

液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)自動車

天然ガスを約-160℃の低温に冷却し、液体で搭載します。
米国で約1,000台が普及しています。
国内では1998年に試作第1号車が完成しました。

吸蔵天然ガス(Adsorbed Natural Gas:ANG)自動車

天然ガスを吸蔵合金に吸蔵させて搭載します。
現在は研究開発段階です。

天然ガス自動車の特徴

  • ガソリンエンジンに比べてCO2の排出量が少ない。
  • ディーゼルエンジンに比べてNOx(窒素酸化物)の排出量が少なく、PM(粒子状物質)をほとんど排出しない。
  • 世界中で約120万台が普及。
  • 国内ではCNG(圧縮天然ガス)自動車が急速に普及。
  • 近年はディーゼル代替の需要が増大。

(出典:日本ガス協会資料)

LNG(液化天然ガス)自動車

LNG車は天然ガスを液体で搭載するため、同一サイズのタンクを搭載するCNG車に比べて一充填あたりの航続距離が長くなり、長距離輸送大型トラックや高速バスに適用することができます。 当研究所では、自動車メーカの協力を得て、日本初のLNGトラックを試作しました。(1996~1999年 (社)日本ガス協会委託事業)

試作したLNG自動車の概要

  • 長距離輸送用大型車に適用できる低公害車。
  • 同一サイズのタンクの場合、一回充填あたりの航続距離がCNG自動車の約3倍。
  • LNGは超低温(-160℃)のため、断熱燃料容器が必要。
  • ウェザリング現象※による燃料組成変化への対応が今後の課題。
  • 今後は実用化に向けた公道走行試験が行われます。(2001年~2003年 国土交通省事業)

※ウェザリング現象・・・燃料容器内のLNGが、主として沸点の低いメタンから蒸発し、組成が変化してしまう現象。

試作LNG自動車の諸元
ベース車両 日産ディーゼル KC-CD45AVH 車両総重量 19,983kg
最大積載量 9,500kg エンジン型式 PF6改
気筒配置・弁形式 直列6気筒、OHV、2バイブ ボア×ストローク φ133mm × 150mm
総排気量 12.5L 圧縮比 11.0
使用燃料 LNG気化ガス 燃料供給方式 吸気管シングルポイント噴射
点火方式 火花点火 吸気方式 インタークーラ付きターボ過給
最大出力 206kW(280PS)/1,900rpm 航続距離 高速道路走行で800km以上
燃料容器 二重殻真空断熱容器、230L×2基、最大搭載量 414L

筒内直噴天然ガス自動車

従来の天然ガスエンジンはオットーサイクルであるため、ディーゼルエンジンに比べて熱効率が低いという短所がありました。そこで、当研究所では筒内直接噴射方式を採用した天然ガス自動車を世界で初めて試作しました。(1998~2000年、(社)日本ガス協会委託事業)

試作した筒内直噴天然ガス自動車の概要

  • 超希薄燃焼と吸気絞り損失の低減により、エンジンの部分負荷熱効率をディーゼルエンジンに近づけることが可能。
  • 従来の天然ガス自動車に比べて実走行燃費を向上し、CO2排出率をディーゼル車以下とすることが可能。
  • 信頼性の高いインジェクタの開発と、燃焼室内の混合気形成方法の改善による燃焼効率の向上が必要。
  • 今後は実用化に向けてさらに熱効率と排出ガス性能を向上するために、自動車メーカによる継続開発が行われる予定です。
  • 2001年~2003年、新エネルギー・産業技術総合開発機構事業
直噴天然ガスエンジンの諸元
ベース車両 日産ディーゼル FD46TA 気筒配置・ 弁形式 直列4気筒、OHV、2バイブ
ボア×ストローク φ108mm × 126mm 総排気量 4.617L
圧縮比 12.0 スワール比 0.5
燃焼室形状 楕円形 使用燃料 CNG
燃料供給方式 天然ガス筒内直接噴射 燃料噴射圧力 5MPa
点火方式 火花点火 吸気方式 インタークーラ付きターボ過給
吸気絞り弁 206kW (280PS) / 1,900rpm インジェクタ 噴孔 単噴孔、噴孔面積2.99m2
性能 燃費 ガソリン13モードCO2平均排出率が 700g/kWh以下
最大出力 136kW [ 185PS ] / 3,100rpm
最大トルク 461Nm [ 47kgfm ] / 1,800rpm

直噴天然ガスエンジンのピストンとインジェクタ

直噴天然ガスエンジンの断面図

直噴天然ガスエンジンを搭載した試作車

ジメチルエーテル(DME)自動車

ジメチルエーテル(DME)は近年にわかに注目を集めている低公害・石油代替燃料です。当研究所では自動車メーカと協力してDMEエンジンの開発を行っています。(新エネルギー・産業技術総合開発機構委託事業)

ジメチルエーテル(DME)とは

  • 天然ガスや石炭ガスなどを原料とする合成燃料(CH3-O-CH3)。
    LPGに似た性質を持ちスプレー缶の噴射剤として広く利用されている。
  • 自己着火性が良く(セタン価が高い)、ディーゼルエンジンで圧縮着火が可能。
  • 常温では約5気圧で液化するため、液体で貯蔵・利用できる。
  • 含酸素燃料のため、PMをほとんど排出しない。
  • 軽油に比べて粘性が低いため、潤滑性、シール性を確保するために対策が必要。
  • 一部の樹脂製シール材を膨潤してしまうため、シール材の選択には注意が必要。
  • 噴射システム内でDMEが気化しないように、適切な温度管理を行う必要がある。