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止まっていても200キロ!! -シャシダイナモメータ-

シャシダイナモメータとは、皆さんが通勤やドライブなど自動車で道路を走っている状態を実験室内で再現させて走らせることのできる機械装置です。 この装置を使うことで自動車が実際に道路を走っている際には測定できない、排出ガス量や駆動力・燃費などの測定が可能になります。また、実験室内は、環境条件を一定にできるので、路上試験のような外乱(風、温度変化、路面状況等)を受けることなく、試験を実施することができます。

シャシダイナモメータ・システムの概要

シャシダイナモメータ・システムは、図のようにシャシダイナモメータの他、CVS装置および希釈トンネル装置、排出ガス分析計、およびこれらの制御システムから構成されています。


シャシダイナモメータ・システム構成図

シャシダイナモメータは、自動車の駆動力を道路に相当するドラムを介して動力吸収装置で吸収します。
各機械装置の主な役割は、次のとおりです。
(1) ドラム:無限の平坦な道路に相当し、駆動力をドラム軸の回転力に変えます。
(2) 慣性装置:ドラムを含め電気慣性により、自動車の慣性質量に相当する質量を与えます。
(3) 動力吸収装置:路上の走行抵抗を電気的に実現することや、道路勾配(上り・下り坂)等任意の状態を模擬します。
(4) 車速風ファン:走行速度相当の風を発生させて、エンジン等を冷却します。
(5) 排出ガス分析計および制御システム:シャシダイナモメータ本体の制御をはじめ、排出ガス分析計等のシステムを一元管理し、規制ガス排出量・燃費等の計測をします。
また、四輪駆動車に対しては、図のように2軸方式の構成が採用されています。

路上走行を再現する

路上走行を再現するとは、車が走るときに受ける抵抗(走行抵抗)を、シャシダイナモメータ上で路上走行状態をシュミレーションさせることです。この走行抵抗は、一般的に次式で表されます。
走行抵抗(R)=ころがり抵抗(Rr)+空気抵抗(RAir)+加速抵抗(Ra)+勾配抵抗(Rs)

Rr=μr×W
RAir=CD×A×(Va)2
Ra=(W+△W)×a/g
Rs=W×sinθ


  ここで  


W:車両総重量
μr:ころがり抵抗係数
CD:空気抵抗係数
A:前面投影面積
Va:対気速度
ΔW:回転部分相当重量
a:自動車の加速度
g:重力加速度
θ:傾斜角

この走行抵抗は、一般的には直線で乾燥した平坦舗装路(テストコース)で、惰行法(ニュートラルでの減速法)により計測します。
シャシダイナモメータ上での走行抵抗は、まず加速抵抗(加速時の車両総重量の慣性抵抗)に相当する等価慣性質量(ドラム+電気慣性質量≒試験車両慣性質量)を設定し、その後車両をテストコースでの走行抵抗計測時と同じ方法でシャシダイナモメータ上にて走行させて、走行抵抗値が一致するように、動力吸収装置の吸収力を電気的に制御して設定します。

シャシダイナモメータ上の運転

シャシダイナモメータ上での運転は、確かに車を運転するわけですが、路上の運転とは異なり景色が動かないことやハンドルを動かさないことが大きな違いです。つまり、テレビ・ゲーム感覚で、アクセル、ブレーキ、クラッチ、ギヤ操作により、スロットル・モニターに流れる走行モードパターンをトレースして運転するわけです。しかし、運転許容差(速度±2km/h、時差±1秒と指定されている)の範囲内で運転しても、運転者のアクセル、クラッチ等の操作の違いにより、結果(排出ガス量、燃費率)が変わってしまう場合があり、そのため、運転には、熟練と集中力が必要となります。また、車両は図のように、ドラム上に駆動輪を設置する様に固定されています。シャシダイナモ上では、直進走行が前提となることで、手放し運転が可能となります。このような、シャシダイナモメータは、実験室内で、自動車を運転・走行が可能な機械装置であり、これを用いることで、車体の移動をともなわずして、200キロの世界を作り出す事も可能となります。