当協会では経済産業省の意向を踏まえて、今後10年程度の経済産業省の施策、ならびに当協会事業の展開指針を得ることを目指して、平成11年秋からネットワーク社会における自動車交通システム像の検討を行ってきた。 スマートビークルネットワーク(SVN)構想は、その検討結果をまとめたものである
平成11年秋に協会内に設置したタスクフォースチーム(事務局メンバ)にて、今後の自動車交通システム像に関する基礎調査を開始し、その結果、得られたキーワード「スマートビークルネットワーク」について、引き続き主要賛助企業の参加を募って設置した「SVN研究会」にて予備的検討を行った。さらに、SVN構想を発展的に具現化していくためには、広く学識経験者や関係方面の有識者のご意見を取り入れ、検討を行う必要があるとの認識から、平成12年秋、協会内に「SVN研究委員会(委員長 栢木 寛 元通商産業省工業技術院長)」を設置し、こうした数多くの関係者の協力を得てまとめたものである
1. SVN構想の背景
PC、インターネット、携帯電話等のIT機器が急速に普及し、携帯電話によるインターネットサービスの加入者が5,000万人を超えるなど、個人レベルにおいても本格的なネットワーク社会が実現しつつある。 そして、クルマ社会もこのような情勢にどう対処すべきかを問われている。
ITSによって高知能化、情報化しつつある車(スマートビークル)は、ネットワーク社会への動きを受け止めるだけものではなく、ネットワーク社会を発展させる存在である。 車をネットワーク社会と積極的に結びつけることを目指したSVN(スマートビークルネットワーク)構想は、こうした観点からITSを捉えたものである。
すなわち、SVNは、車をネットワーク社会に積極的な情報通信拠点として参加させ、通信ネットワークの新たな発展の方向を提案しようというものである
2. 情報化と車の発展
情報化による車の発展を考えると、情報化によって、車(V)は、高度に知能化したスマートビークル(SV)へ、さらにネットワーク化されたスマートビークルネットワーク(SVN)へと発展して行くと考えられる。
〈 V:Vehicle 〉
従来の車(V)への情報提供はカーラジオ等による受信が主体である。 車(V)は、情報化という意味では受け身で、スタンドアローンであり、周囲から閉ざされた空間である。
〈 SV:Smart Vehicle 〉
ITS技術は、車を高度に知能化・情報化し、車(V)からスマートビークル(SV)へと発展させつつある。 スマートビークル(SV)は、走行環境に対する高度な認識機能を備え、さらに情報・通信機能を充実させた車である。
〈 SVN:Smart Vehicle Network 〉
スマートビークルネットワーク(SVN)は、ネットワーク社会へ積極的に適応するスマートビークル(SV)の集合体をネットワークとして捉えたコンセプトである
3. SVNのコンセプト
現段階におけるSVNのコンセプトは、次のように考えている。
「SVN(スマートビークルネットワーク)とは、知能化・情報化を続ける自動車が、走行や利用に関する情報を共有する集合体として発展することにより、ネットワーク社会における重要な情報基盤となり、社会と高度に調和したクルマ社会を形成した状況を指す。」
4. SVN検討の目的
(1) 新たなクルマ社会の創造
車が保有する走行や利用に関する情報の共有化を促進させることにより、シームレスな交通社会への実現を目指す。また、交通事故・渋滞・環境負荷等、車が20世紀に残した負の遺産の解消を図るとともに新しいクルマ社会の創造を目指す。
(2) 新たな産業の創出
SVNによって共有化された情報を基盤とする新たなITS関連サービスや産業の創出を目指す
5. SVNが実現する新たなサービス
SVNで広がるネットワークサービスを概観すると以下の3つの方向が考えられる。
第1に、車の利用に関する情報をネットワーク化することによってクルマ社会を一層便利に高度化させることを目指すもの、第2は、車と次世代インターネットを結ぶことによって新しい情報通信サービスの創出を目指すもの、第3は、車同士を通信で繋ぎ、ネットワーク化することによって新しいサービスの創出を目指すものである。
(1) 車の利用に関する情報のネットワーク化によるサービスの高度化
・車の管理や利用形態のスマート化
・シームレスな公共交通サービス
・物流サービスの高度化
(2) 車と次世代インターネットとの接続による新しいサービスの創出
・プローブ情報サービス
・インターネットITS
・モバイルコマースの高度化
(3) 車同士のネットワーク化による新しいサービスの創出
・車々間の情報交換
・安全で快適な運転の支援
1. SVN構想の背景
2. 情報化と車の発展
3. SVNのコンセプト
4. SVN検討の目的
5. SVNが実現する新たなサービス
6. SVNに期待される効果
7. SVN発展に向けての留意点
8. おわりに