車載システムにおけるネットワーク型音声利用技術に関する調査研究 報告書

音声は人間同士がコミュニケーションするための基本的な方法で、人間が最も受け入れやすいインタフェースの1つである。人間から発せられる言葉は発生の強弱によりその意味は大きく変わるなど多くの情報量を含んでいるが、機械が人間と同等に発生情報を認識し、仕事をして返答することは現状困難である。しかしながら、今後車内での情報利用が発展していった場合、機器操作に不慣れなハイテク弱者はハンディキャップを負う可能性がでてくる。またインターネットなどで必要な情報を得ようとした際、情報量が多い分、多くの階層を経て到達するといった使いにくさが顕著になってくる。このような観点から車内でドライバーなどの意志を正確かつシンプルに解釈する技術が今後ますます重要性を増してくると考え、弱者保護の観点からリーズナブルなシステムが早く社会に普及することが期待される

本調査研究では、車載システムにおける音声利用技術を、インターネット等の社会システムにおいて発展させていくために必要な、具体的な要求機能、技術課題、目標設定、技術開発項目の検討等を行ったものである

我が国は、カーナビゲーションの普及において世界の先頭を走っており、自動車を巡る情報化の動きが車載端末を核として活発になってきている。特にインターネットアクセスを利用した、情報提供システムや自動決済システム、あるいは各種予約システム等、多様なサービスが今後提供されるようになると予想される。一方、緊急通報用の車載端末としてスタートしている米国では、今後の自動車向け情報サービスにおいても、音声サービスを中心とした展開が模索されている。また米国における携帯電話から音声認識技術を利用してインターネット検索をするボイスポータルサービスの急速な発展が、車載情報システムへの大きな影響を及ぼすと見られる

ここで、運転中のドライバーと多種多様な情報のやりとりを実現するには、安全の観点からも、ドライバーの走行操作に負荷を与えないようなシステムとすることが必要であり、自由対話による音声利用が有力と考える。また、機器操作に不慣れな弱者保護の観点からも、インタフェースとして人にやさしい、音声利用技術は必要性を増してくる

一方、平成11年度の財団法人 機械システム振興協会 委託事業として、「ITSプローブカーシステムの開発に関するフィージビリティスタディ」を実施し、この中で、音声を用いれば、センサー系では不可能な、対向車線渋滞や口コミ情報などが入手でき、これまでのプローブカーの概念を大きく広げる可能性を持つことがわかった。しかしながら一方で音声認識を容易にするために定型化されたQ&A方式でのやり取りではドライバーに負荷がかかる問題があり、将来的には負荷の少ない自由対話によるやり取りが必要であることが報告された

現状の音声認識技術は、車載という特殊環境もあり、スタンドアローン型音声認識(車内で閉じたシステム)にした場合、コマンドレベルの車内音声認識しか出来ない。今後、自由対話を考えるためには、車載器の性能を上げるか、車外システムで接続したネットワーク型音声利用技術が必要となるが、これに関する開発は緒についたばかりである。車外システムとの連携を考えた場合、前述のインターネットとネットワーク型音声利用技術の接点が重要となってくる。 本調査研究では、車載システムにおける音声利用技術を、インターネット等の社会システムにおいて発展させていくために必要な、具体的な要求機能、技術課題、目標設定、技術開発項目の検討等を行うものである

第1章 車載音声利用技術の現状調査
 1.1 社会における音声技術の位置付け
 1.2 車載システムにおけるネットワーク型音声利用技術分類
 1.3 音声コンテンツ記述言語の標準化動向
 1.4 海外及び国内の研究開発調査

第2章 車載音声利用システムのサービスと要求条件の検討
 2.1 音声利用シーンの抽出
 2.2 要求条件の検討

第3章 技術課題の抽出と機能分担の検討
 3.1 要素機能の抽出
 3.2 機能分担の検討
 3.3 車載器とサーバの機能分担方策

第4章 ネットワーク型音声利用サービスにおけるシステム課題の検討
 4.1 ネットワーク型音声利用サービスにおける観点
 4.2 音声利用機能の車内・車外の負荷分担とソフトウェア共通基盤
 4.3 共通基盤とエージェントの観点
 4.4 音声利用と安全性の考慮
 4.5 共通基盤のシステム課題と開発ステップ
 4.6 分かったことおよびアクションプラン