路車間通信の共通仕様に基づく車載機・路上機の試作研究

当協会は設立以来、通産省大型プロジェクト「自動車総合管制技術」の成果を基盤に自動車と路上との間の情報交換機能(路車間通信)を軸に、自動車交通の改善並びに自動車の利用環境を向上せしむる技術の開発と成果の普及に関する事業を進めている。特に研究開発については、今般、急速に加速しつつある社会の情報化あるいはネットワーク化にかんがみ、車と道路交通の分野においては路車間の通信方式が極めて重要な意味を持つと考え、昭和56年度から大型プロジェクトの成果をベースに、出来るだけ広範なシステムに共通的に利用し得る標準通信方式についてハードウェア、ソフトウェア両面から試験研究を積み重ねてきた

昨年度(昭和58年度)は、設立以来の研究成果あるいは実施中の研究成果を集大成する意味で、昭和60年3月から開催が予定されているつくば科学万博に時期をあわせて総合的な実験を計画し、以来、これを目標に必要な試作研究を実施してきた

昨年度においては、システムのおおよその仕様を定め、その仕様を実現するための基礎的研究を含めた試作研究を行ったが、今年度は、実験システムを仕上げる年にあたっており、昨年度の成果に基づいて実験システムの構成に必要な路上機と各種車載機の試作を行い、58年度の機器と併せて、システムテストによって、その機能の最終チェックまでを行った。本報告書は、昭和59年度に実施した試作研究と、それらに関して行われたシステムテストの概要等について併せて報告するものである

I 車載機・路上機の試作研究 (担当 日本電装株式会社)

前年度に試作したバス装着用および乗用車装着用計測型車載機は、それぞれの車両に装着して評価試験を行い、良好な結果を得た。今年度の研究は、上記成果に基づき、車載機本体とアンテナなどの基本的部分は前年度設計をそのまま踏襲し、これらを車両に装着するための方法の検討と、その具体的設計を行った。
量産試作した90台の車載機は、現地に設置された路上機との交信テストも含め各種試験を実施して、仕様を満足することが確認され、また、車載電子通信機器としての装着性;耐環境性等においても、十分実用的域にあるとの結論も得られた

1.計測型車載機の試作研究
 1.1 概要
 1.2 車両への装着方法
 1.3 量産試作
 1.4 社内試験
 1.5 車両への装着
2.表示型車載機の試作研究
 2.1 概要
 2.2 表示型車載機の構成  2.3 機能仕様
 2.4 ハードウェア
 2.5 インターフェース
 2.6 実走テスト
3.路上機の試作研究
 3.1 概要
 3.2 試作
 3.3 社内試験
 3.4 現場設置

II 車載機の試作研究(1) (担当 株式会社日立製作所)

微弱電波を用いた路車間通信方式の実用システム・つくば実験システムの車載機2種(計測型・管理型)に関して報告する。 計測型車載機は、車両の旅行時間を計測する機能を有する車載機である。前年度の機能試作に基づき、今年度は乗用車及びトラック装着用車載機を作成し、つくば実験システムで運用実験中である。
管理型車載機は、計測型車載機の有する旅行時間計測機能に加え、実際の道路環境の状況を詳細に把握するための道路災害・交通渋滞・交通規制等のデータ収集機能を有する。今年度は、仕様の検討を更に一歩進め、その仕様に基づく試作品を作成した

1.概要
2.車載機装着方法・位置の検討
 2.1 乗用車装着用車載機
 2.2 トラック装着用車載機
3.計測型車載機の試作研究
 3.1 ハードウェア構成
 3.2 ソフトウェア構成
 3.3 機器の構成
4.管理型車載機の試作研究
 4.1 概要
 4.2 ハードウェア構成
 4.3 ソフトウェア構成
 4.4 機器の構成
5.試験方法
 5.1 ソフトウェア機能
 5.2 ハードウェア機能
 5.3 システム機能
 5.4 環境試験 III 車載機の試作研究(2) (担当 三菱電機株式会社)

昭和57年度の試作研究により有用性が確認された路車間通信の共通仕様に基づき、実験システム(つくば自動車走行データ収集・提供システム)で使用する計測型車載機を試作研究した。今回の研究テーマは簡易脱着方式による計測型車載機ということで、車載機本体・車載アンテナの小型・軽量化、バッテリ内蔵方式のための省電力化について主に検討した。仕様の検討は昭和58年度で完了しているが、今年度一部修正を加えて車載機を試作し、所期の性能が得られることを確認した

1.はじめに
2.仕様の検討
 2.1 簡易脱着方式に関する検討
 2.2 電源の検討
3.車載機の設計
 3.1 ハードウエアの設計
 3.2 ソフトウエアの設計
4.車載機の試作
 4.1 車載機本体
 4.2 車載アンテナ
5.試験結果
 5.1 ハードウエアのテスト
 5.2 交信テスト
6.まとめ

IV 車載機の試作研究(3) (担当 富士通株式会社)

82年度の基礎実験、83年度の試作機仕様検討結果に基づき、今年度は表示型車載機の試作を行い、実フィールドでの実験結果をフィードバックし調整を行うことにより、通信部、表示部ともに機能の確認ができた。 本車載機は、計測、表示機能の他に、メンテナンス機能として、送受信データのモニタ、送信データの任意設定、通信エラー回数のカウント等、車載機自身で通信状態のチェックを行う機能を有している。
今回の試作では、車載機の汎用性を考慮し機器をユニット化することにより、各部の機能の追加、変更を容易に対応できる構成とした。また、表示部、操作部等は、乗用車に取付けたとき、できるだけ違和感のないよう配慮した

1.概要
2.機器の構成
 2.1 システム構成
 2.2 モデム仕様
 2.3 モデム回路構成
 2.4 CRT仕様
  2.5 乗用車への取付け
3.表示型車載機の仕様
 3.1 通信制御、計測処理
 3.2 表示方法
 3.3 メンテナンス機能
4.まとめ

V 車載機の試作研究(4) (担当 株式会社東芝)

自動車走行電子技術協会における路車間通信システムについて、今回車載機3種、即ち計測型、表示型、管理型のうち管理型車載機に関し前年度試作研究に関し、これに基づき機器の試作製作を行なったので、その成果を報告するものである。
管理型車載機は計測型車載機が有する旅行時間の計測機能である標準、単位計測以外に実際の道路上において運転される道路交通情報収集、提供システムへの使用を前提として分割計測も実施し、更に詳細な乗用車装着用の道路交通情報の機能を持つ車載機の設計、試作を行なった。
計測システム基本仕様書に示されているパトロール情報は当然として、車載機で収集可能な次の情報の種類、内容を設計に取り入れるとともに車載機によるそれらの収集並びに路上機を経由して中央処理装置へデータの伝送に関する試験を行なった。
特に今回、自車の走行履歴として走行速度、速度上昇の回数、速度下降の回数をデータとして送出し、グラフ化することにより指定区間の走行状況を把握することとした。この為に送出データ長を当初考えていたよりも24バイト拡張エリヤに追加した。
これらを含めて試作機は次の項目がある。
(1)自車の走行履歴(停車回数、停車時間、平均走行速度)
(2)渋滞長(対向車線測定)
(3)更に管理型車載機に要求されている情報収集実験を可能とするため後で次の機能が付加できるよう、あらかじめ設計で配慮した。
<1> 情報収集を手動により起動、停止させる機能。(路上機との交信のシミュレーション)
<2> 手動による送信データ入力機能。(8ビット)
<3> 車載機の送信情報の出力機能
本報告書は既に述べた機能についてソフト関係を主体として記載し、特に走行履歴について詳細に説明し、次いで仮に作成したシミュレーションの冶具を使用し実験室でデータを打ち出させ、その後実際に設置された路上機間との交信データについて記述するものとする

1.はじめに
2.試作車載機
3.ソフトウェア
 3.1 概要
 3.2 交信機能
 3.3 計測機能
4.試験結果
 4.1 シミュレーション試験
 4.2 路上機との交信試験結果
5.まとめ

VI 路上機の試作研究(1) (担当 立石電機株式会社)

58年度に行なった路上機の二次試作で得た研究成果を踏まえ、実用機の設計、試作、試験を行ない、当初の成果をあげることができた。今回試作した路上機は、新変調方式の基礎的検証や、装置の数次にわたる試作、改良を重ね、実用機として完成度の極めて高いという特長を有している。特に設計に際しては、実際の道路に設置した場合に性能の重要な要素となる耐環境性、保守性に関する対策を強化しており、実際の道路での機能、性能とも十分に初期の目標を達成したものとなっている。
今回試作した路上機の特長を以下に列挙する。
(i) 電源部と送信出力回路の高効率化とあわせて筐体内の温度分布の均一化を実現し、内部温度上昇を低く抑えた。
(ii) ハードウエアは保守の向上を図るため、路上機の各機能をそれぞれ1枚のボードで構成した。
(iii) ソフトウエアは、階層化とモジュール化を可能な限り行ない、保守性の向上を図った。
(iv) 対車通信部は、変復調回路を全てディジタル回路で構成し、信頼性の向上を図った。

1.概要
2.路上機の設計
 2.1 設計方針
 2.2 主な仕様
 2.3 基本構成
3.路上機の試作
4.試験
 4.1 機能試験
 4.2 電気的特性試験
 4.3 環境性能試験
 4.4 車載受信可能領域の測定
 4.5 電界強度分布の測定
5.試験結果
 5.1 機能試験
 5.2 電気的特性試験
 5.3 環境性能試験
 5.4 車載受信可能領域測定結果
 5.5 電界強度分布測定結果
6.まとめ

VII 路上機の試作研究(2) (担当 住友電気工業株式会社)

58年度の路上機、基本仕様及び外部要求仕様書に基づき路上機の試作を作った。路上アンテナはオーバーヘッドアンテナとし今回試作路上機は、前回試作路上機を改良したものである。路上機の特徴は次の通りである。
(1) 一般道路の路側取付等を考慮し、小型、軽量化を図っている。
(2) 多車線道路に対応する為に、複数路上アンテナの制御を同一制御部で行っている。
(3) 路上アンテナは、ループアンテナとオーバーヘッドアンテナの使用が可能で、対車モデムを交換する方法で実現出来る。
(4) オーバーヘッドアンテナのアプローチケーブル長が、アンテナの性能に影響しにくい様配慮して、現地工事・調整等の繁雑さを除く事を目標とした。
(5) 構成は、マウント方式、パッケージ単位とし、回線との切り分け等保守性の向上を図っている

1.概要
2.機器設計
 2.1 設計方針
 2.2 通信仕様
 2.3 基本構成
 2.4 ソフトウェア
3.機器試作
 3.1 機器機能
 3.2 機器構成
 3.3 機器仕様
4.試作機器の機能確認試験
5.成果物写真