路車間通信の共通仕様に基づく車載機・路上機の試作研究

当協会では、通産省大型プロジェクト「自動車総合管制技術」で開発された技術的成果を実用化・普及しやすいものとするため、ハードウェアならびにソフトウェアの研究を進めているが、車と道路間の行う局地デジタル通信技術が、将来の発展に対して重要な役割を担っているという観点から、前記プロジェクトで開発された微弱電波による路車間通信方式の改良研究を進めてきた。研究のポイントは、自動車走行電子技術の基本構想の実現に対処できるだけの情報伝送量、および信頼性を確保すること、並びに路上施設の維持管理を容易なものとするため、地上アンテナ系を多様化することである

この通信方式に関する研究は昨年度の試作研究により、技術的見通しが得られており、次のステップとして、実際に道路に設置、あるいは車に装着し得る機器にまとめ、通信方式の実用性をフィールドにおいて確認すべき段階に到った

そこで、当協会としては、この通信方式のみならずこれまでの試験研究で得た各種の知見を集大成して、昭和60年度をめどに総合的な実験を行うとともに、科学万博つくば85 'でこの実験状況を紹介して、技術の普及にも役立てようとの方針を定めた

今年度は、その実験システムに利用することを前提にした路上機器と車載装置の仕様検討と一部の試作を行った。本報告書は、その研究結果を詳述するものである。本年度の研究は、昭和60年度実験実施を目指して大変厳しいスケジュールで進められたにもかかわらず、所期の成果を挙げることができた。これは、研究を受託して戴いた、日本電装(株)、(株)日立製作所、三菱電機(株)、富士通(株)、東京芝浦電気(株)、立石電機(株)、住友電気工業(株)のご支援、ご協力の賜ものであり、紙面をかりて謝意を表したい

I 車載機・路上機の試作研究(1) (担当 日本電装株式会社)

バス装着用および乗用車装着用の計測型車載機を設計・試作し、評価試験を行ない良好な結果を得た。
路上機との通信の基本的部分については、前年度に成果を得ているが、本年度は特にバスに装着する場合のアンテナ位置と通信機能の検討を行ない、左サイドミラーの位置に装着することで性能を満足することが判明した。また機器の設計に当っては、計測型車載機が表示型、管理型車載機への拡張性を持つようにし、さらにバス用と乗用車用とは電源アダプタ(24V系から12V系への変換)を別構成とすることによって共通化を図った。試作した車載機に対し、機能評価試験、性能試験、耐環境試験を実施し、所期の機能・性能を有していることを確認した

本年度の研究は、表示型車載機を設計・試作する為の仕様を確立することが目的であるが、1章で記述したように路上機との通信、標準計測、単位計測等の基本的機能は、基本ユニットで実現し、表示型車載機はこれとインタフェースする形で表示ユニットを設計する方式を採用した。また表示デバイスはカラーCRTが表現の自由度が高く、また今回の用途(観光バスの搭載)では一般的にCRTが搭載されているので利用することにした

以下 表示ユニットを中心として基本ユニットとのインタフェース仕様、ディスプレイとのインタフェース仕様を検討し、表示形態については、システム事務局との間で、都心〜EXPO会場間の路線・ステーションを定め、これに基づいて表示意匠の検討を行なった。さらに車載機基本仕様に基づいて、機能仕様の詳細検討を行なった

新しい路車間通信仕様による路上機の試作研究は、昨年度に電気的性能、制御方式等の基礎的な項目についての検討、試作を実施し実験による検証を行った。今年度は、その成果に基づき、実際の道路上において運転される道路交通情報収集・提供実験システムでの使用を前提としたオーバヘッド方式による路上機の試作と、オープアンテナ方式による交信領域の明確化(車線弁別)の研究を行った

1.計測型車載機の試作研究
 1.1 概要
 1.2 バス用車載機の装着位置の検討
 1.3 乗用車への装着方法・位置の検討
 1.4 機器の設計
 1.5 機器の試作
 1.6 社内試験
2.表示型車載機の試作研究
 2.1 概要
 2.2 機器の構成の検討
 2.3 表示意匠の検討
 2.4 機能仕様の検討
3.路上機の試作研究
 3.1 概要
 3.2 車線弁別の検討
 3.3 交信領域形成の検討
 3.4 機器の設計
 3.5 機器の試作
 3.6 社内試験
4.システムテスト

II 車載機の試作研究(1) (担当 株式会社日立製作所)

当社は、昭和58年度研究テーマとしての車載機の設計及び試作として
(i) 計測型車載機の設計・試作及び、トラック装着時ならびに乗用車装着時における最適なアンテナ取り付け位置の検討
(ii) 管理型車載機の収集するパトロール情報及びそれらの伝送方式の検討を行なったので、以下これらの内容について報告する

1.まえがき
2.計測型車載機の設計
 2.1 ハードウェア
 2.2 ソフトウェア
3.管理型車載機
 3.1 パトロール情報
4.アンテナ取付位置の検討
 4.1 乗用車装着用アンテナの検討
 4.2 トラック装着用アンテナの検討

III 車載機の試作研究(2) (担当 三菱電機株式会社)

実際の道路上において運用される道路交通情報の収集・提供実験システム(以下実験システムと略す)での使用を目的とする計測型車載機のうち、乗用車に装着する小形で容易に脱着可能な旅行時間計測用車載機の研究を行なった。今年度は昭和59年度に試作する車載機についての各仕様を検討し、試作仕様としてまとめた。主な検討項目は、車載アンテナの車室内装着の可否と、車両のバッテリー以外の電源の利用に関するものである

1.まえがき
2.車載機の簡易脱着方式に関する検討
 2.1 アンテナの車室内装着
 2.2 車両のバッテリー以外の電源の利用
3.試作仕様の検討
 3.1 ハードウェアレベルの仕様
 3.2 ソフトウェアレベルの仕様  3.3 外部仕様
4.まとめ


IV 車載機の試作研究(3) (担当 富士通株式会社)

本仕様書は、EXPO '85対応用表示型車載機の暫定仕様書である。本車載機は、旅行時間計測型車載機の機能に加えて、ドライバーへのサービス機能、および、メンテナンス機能を有している

サービス機能として
<1> 走行路線の模式図
<2> 現在走行位置
<3> 各ステーションへの到着予想時刻
等の表示を行う。また、メンテナンス機能として
<1> 送信データの入力
<2> 送受信データの表示、および、記録
<3> 通信手順の選択
<4> 交信領域の検知
等の機能を有している

1.はじめに
2.車載機の構成
3.ハードウェア構成
4.機能
 4.1 サービス機能
 4.2 メンテナンス機能
5.計測、表示方法
 5.1 計測
 5.2 現在走行位置の管理
 5.3 到着予想時刻の管理
6.モデム部仕様
 6.1 モデム部回路構成
 6.2 送受信アンテナ
7.ソフトウェア仕様
 7.1 交信サイクル
 7.2 データ仕様

V 車載機の試作研究(4) (担当 東京芝浦電気株式会社)

自動車走行電子技術協会における路車間通信システムについて、今回車載機3種、即ち計測型、表示型、管理型のうち管理型車載機の試作研究に関して報告するものである。管理型車載機は計測型車載機が有する旅行時間の計測機能である標準、単位計測以外に実際の道路上において運転される道路交通情報収集、提供システムへの使用を前提として分割計測も可能とし、更に詳細な乗用車装着用の道路交通情報収集機能を持つ車載機の試作研究を行うものである

計測システム基本仕様書に示されているパトロール情報は当然として車載機で収集可能な次の情報の種類、内容を検討するとともに車載機によるそれらの収集並びに中央への伝送方式に関する検討を行なう。
(1)自車の走行履歴(停車回数、停車時間、平均走行速度)
(2)渋滞長
(3)更に管理型車載機に要求されている情報収集実験を可能とするため次の機能を付加することについても検討を行う。
<1> 情報収集を手動により起動、停止させる機能。(路上機との交信のシミレーション)
<2> 手動による送信データ入力機能。(8ビット)
<3> 車載機の送信情報の出力機能
本報告書は先に述べたこれらの特殊機能について重点的に研究検討を行ない、仕様書としてまとめ、試作に着手するために設計思想の統一を行うものである

1.概要
2.管理型車載機の機能
 2.1 車載機に関する仕様
 2.2 旅行時間計測システム機能
3.管理型車載機に関する機能の詳細仕様とデータフレーム等について
 3.1 機能の詳細仕様
 3.2 データフレームについて
 3.3 第1データの交信地点データの取扱い
 3.4 応用システム用データの識別
4.道路交通情報の収集、伝送方式の検討
 4.1 自車走行履歴
 4.2 自車走行履歴計測動作
 4.3 渋滞長
 4.4 自車走行履歴及び渋滞長のデータ仕様
5.データフレーム全体構成
6.機器構成及び仕様
 6.1 機器構成
 6.2 主要仕様
7.シミュレータ装置
 7.1 自動と手動操作
 7.2 シミュレータ装置系統図
 7.3 シミュレータ装置仕様
 7.4 シミュレータの機能
8.まとめ

VI 路上機の試作研究(1) (担当 立石電機株式会社)

57年度の路車間通信の共通仕様に基づく路上機の試作研究成果を踏まえ、路上機の二次試作を行ない、当初の成果を上げることができた。今回試作した路上機は、路車間通信の基本仕様を満足することはもとより、屋外での長期運用を考慮し、耐環境特性を十分留意した設計を行なった。今回試作した路上機の特徴を以下に列挙する。
(i) MSK変復調回路は、全てディジタル回路構成とし、動作の安定化を図っている。
(ii) 機器の調整は送受信レベルのみとし、調整作業の簡素化を図っている。
(iii) 伝送制御部およびCPU部のプログラム構成は、階層化することにより信頼性の向上が図られている。
(iv) 送信部の発熱をおさえた低損失送信回路を実現している。

1.概要
2.路上機の設計
 2.1 設計方針
 2.2 路車間通信仕様
 2.3 基本構成
 2.4 伝送レベルの設計
 2.5 アンテナの設計
 2.6 回路設計
 2.7 伝送制御部の設計
 2.8 CPU部の設計
3.試験方法
 3.1 伝送レベル測定
 3.2 漏洩電界強度測定
 3.3 受信電界強度測定
 3.4 搬送周波数
3.5 変調速度の測定
3.6 機能試験

VII 路上機の試作研究 (担当 住友電気工業株式会社)

57年度の路車間通信の共通仕様に基づく路上機の試作研究の成果を基に、路上機の二次試作を行った。一次試作においてはループアンテナを用いて通信機能の確認を行ったが、二次試作においてはオーバーヘッドアンテナを主体とした設計を行った。今回試作を行った路上機の特徴は次の通りである。
(1) 一般道路の路側取付等を考慮し、小型化、軽量化を図っている。
(2) 多車線道路に対応するために、複数アンテナの制御を同一制御部で行っている。
(3) ループアンテナとオーバーヘッドアンテナの切替えは、対車モデムの交換で行う方法とする。
(4) オーバーヘッドアンテナのアプローチケーブルの長さが、アンテナの特性に影響しない回路構成を採用し、現地工事、調整等の繁雑さを除いている。
(5) 構成はマウント方式、パッケージ単位とし、保守性の向上を図っている。

1.概要
2.路上機の設計
 2.1 設計方針
 2.2 通信仕様
 2.3 基本構成
 2.4 ループアンテナ
 2.5 オーバーヘッドアンテナ
 2.6 対車通信部
 2.7 制御部
 2.8 対中央通信部
 2.9 ソフトウェア
3.試作機器仕様
 3.1 概要
 3.2 機器構成
 3.3 機器性能
 3.4 各部の機能
4.性能確認試験
5.機能確認試験
6.試作結果