プローブ情報システムにおける個人情報保護に関する標準化

プローブ情報システムは、車両を自動車交通の触覚(プローブ)とみなし、車両のもつ様々なセンサーデータをリアルタイムな情報として収集し、車や社会全体に提供するものである。プローブ情報システムのようなITシステムにおける個人情報の扱いは、国際的にも関心が高い。事実、プローブ情報には個人情報が含まれており、プローブ情報の収集にあたって個人情報保護のしくみを構築する必要がある。本基準認証研究開発事業では、次世代インターネット技術を用いたプローブ情報システムにおけるプローブ情報収集用車載機(以下、車載機という)に関して、個人情報保護のしくみを技術的対策、運用管理面の両面から検討し、標準化提案を行うものである。

研究開発は、慶應義塾大学SFC研究所がワーキンググループを組織して行った。「プローブ情報サービスにおける個人情報保護のガイドライン」は、財団法人日本自動車研究所に再委託した。また、学識経験者を長とし、関係する有識者、団体、企業で構成される分科会を設置し、当該事業の研究内容、進め方に関する方針の確認や、内容の審議を行った。

平成15年度は、個人情報保護の公布に伴う順法の観点と、プローブ情報サービスが市場に受け入れられるために必要な自主基準としての観点から、前年度に作成した「プローブ情報サービスにおける個人情報保護のガイドライン」を見直した。また、個人情報保護の分野は、各国法制度が整備されており、関連法規規定の調査、比較を実施し、国際の場で個人情報保護について議論する際に、留意すべき事項の整理を行った。

「ガイドライン」において明らかになった個人情報保護に係る要求事項を、評価用プローブ情報システムに実装し、フィールドで評価試験を行った。例えば「適正なプローブ情報の取得」のために、認証や取得情報のアクセスコントロールの機能、「取得に際しての利用目的の通知」では、ドライバーとの明示的な同意に基づく取得の監視及び拒否機能、「安全性の確保」では、盗聴の防止として暗号化機能などがある。評価試験では、これらの機能の動作、効果、性能を評価した。

見直した「ガイドライン」は、自工会企画部会や、インターネットITS協議会のアプリケーション部会、その下部組織であるプローブ情報利用WG、国内ISO/TC204/WG16専門家会議等で紹介し、意見交換を行うなど、取組みに対する広報、理解活動を推進してきた。また本研究成果を用い、プローブ情報のデータ辞書の標準化検討を行っているISO/TC204/WG16/SWG16.3で、プローブ情報サービスにおける個人情報保護の必要性を説明し、国際標準化提案の準備を実施してきた。

平成16年度は国際標準化提案を行い、PWI提案を実施する。そのため、TC204技術委員会、ITS標準化委員会(事務局 自動車技術会)で、日本として国際標準提案を行うことについて承認を得る。PWI提案、承認に向け、国際の場で「プローブ情報サービスにおける個人情報保護」の標準化活動のスコープについて合意形成を図り、PWI提案が確実に受け入れられる環境設定を行う。

第1章 国内法に基づく個人情報保護のガイドラインの作成
  1.1 概要
  1.2 国内法、他によるガイドラインの見直し
  1.3 まとめと今後の課題 

第2章 ガイドラインと関連する海外法との比較
  2.1 概要
  2.2 海外法によるガイドラインの見直し
  2.3 まとめと今後の課題

第3章 フィールド評価用プローブ情報システムの開発
  3.1 概要
  3.2 フィールド用統合型車載システムの開発
  3.3 フィールド用プローブ情報センターの開発
  3.4 まとめと今後の課題

第4章 プローブ情報システムのフィールドでの評価
  4.1 概要
  4.2 ガイドラインを実現する技術の構築
  4.3 フィールド評価試験の実施
  4.4 フィールド評価試験結果
  4.5 まとめと今後の課題

第5章 国際標準化提案の準備
  5.1 概要
  5.2 標準案に対する理解活動
  5.3 国際標準活動提案の準備
  5.4 今後の進め方

第6章 まとめと今後の課題
  6.1 本年度の成果
  6.2 今後の課題

参考文献

  研究発表・講演・文献・特許等の状況
  付録1:個人情報の保護に関する法
  付録2:電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成十年十二月二日郵政省告示第五百七十号)と解説
  付録3:有料道路自動料金収受システムにおける個人情報の保護に関する指針
  付録4:海外における個人情報保護法の体系
  付録5:EU95(英文及び和文
  付録6:英国データ保護法(英文及び和文)
  付録7:独連邦データ保護法(独文、英文及び和文)
  付録8:米国セーフハーバー原則(英文及び和文)
  付録9:ITSアメリカの公正情報とプライバシー原則(英文及び和文)
  付録10:実験データ