ITSの社会的有効性向上に係るシステム最適化研究開発 報告書

ITSは社会システムであるため、実社会に展開されてはじめて効用が確認される。本研究開発では、渋滞緩和に資するITSサービスとしてプローブ情報システムに着目し、地域型情報システムを設計開発するとともに、システム導入候補地の自治体等と連携して設置、運用し、ITSの社会的有効性向上を実証的に研究する。さらに、ITSサービスの社会的有効性や地域的汎用性を高めるための標準化研究及びITSに関する公共基盤整備と民間市場の形成に関するシステムの最適化研究等を行い、ITSの全国展開促進に資する

(1) システム導入候補地の調査
 政令指定都市あるいは地方中核都市における商業エリアを対象に6都市においてシステム導入フィールドを調査し、研究開発に適した都市を選定するとともに、システム導入と研究開発基本計画を策定した

(2) 地域実態調査
 導入対象地域である横浜市の交通実態や既存システムの状況(利用できる情報を含む)等について詳細な調査を行った。また、地域型情報システムで提供可能なサービスについて、既存のシステムを汎用的に利用するための追加機能や手続き等をシステムアーキテクチャ等をもとに明らかにした

(3) 地域型情報システムの基本設計
 対象地域の条件への適合と他都市への展開を考慮しながら、システムアーキテクチャ及び車載システムアーキテクチャを踏まえて、地域型情報システムの基本設計を行った

<1> システムアーキテクチャ
 プローブ情報システムの様々な応用を考慮しながら、サービスならびに運用面からのリファレンスモデルを検討するとともに、それに基づいて機能や情報の配置、重要なインタフェースの観点から適切なシステム構成を検討した

<2> システムの基本設計
 トータルシステムの設計の第一段階として、システムのモデル設計を行った。モデル設計ではシステム機能とインターフェイスポイントを整理し下記を明確化した。
−構成要素毎の機能分担
−情報の流れ
−構成要素での情報の形態等
 センタシステムの設計においては、プローブ情報システムと既存情報サービスシステムを連携させた、様々な情報サービスに展開できる情報提供用センタシステムの基本設計を行った。プローブシステム(プローブカーから情報をセンタに収集するシステム)の設計においては、対象地域に存在する公共車両及び民間の運輸事業者(タクシー、バス、貨物車等)と連携してプローブシステムを設計するとともに、導入計画を作成した。
 情報提供システムの設計においては、CATV(ケーブルテレビ)、インターネット等のメディアによる家庭や車への車の情報提供システムの基本設計を行った。

(4) システム基本部の開発・整備
 地域型情報提供システムのセンタを構成する情報センタシステムとプローブカー用センタシステムの情報収集機能部を中心に設計、開発した。また、搭載車両にあわせたプローブ用センサ車載器を開発した。
 なお、地域型情報システムは、
・センタシステム(複数)
・車載システム(表示機能含む)
・情報提供端末
・通信ネットワーク
により構成されるが、本年度の開発はセンタシステム、車載システムに限定し、車載以外の情報提供端末は汎用のPC等を利用した。

(5) 情報収集システムの試験運用
 開発した地域型情報システムの基本部を試験的に運用した。また、既存のシステムや組織等から得た情報を総合的に利用する手順を開発し、プローブカーによる情報収集機能と連携させること等を通じて、運用上の課題を抽出した。
 試験運用システムの結果をふまえ、情報の信頼性、情報の有効性、社会的受容性の3つの視点から評価を行った。

(6) システム最適化のための要件検討
 地域型情報システムの基本設計、基本部の開発・試験運用を通じて、円滑なシステムの運用、他地域への展開に際して求められる各種の要件(標準化、情報管理のためのルール、導入に係る規制の緩和・整備の方向等)を検討、整理した。
 また、ITS世界会議他へ出席し、本研究内容の発表・関連情報収集を行うとともに、システム最適化のための要件検討に資する意見交換を行った。
 財団法人自動車走行電子技術協会に、学識経験者である慶應義塾大学 村井純 教授を委員長とし、関係の有識者、地方自治体、団体、企業で構成される「プローブ情報システム研究委員会」および分科会を設置し、当該事業の実施項目に関する確認や方針調整を行った。

第1章 システム導入候補地の調査
第2章 地域実態調査
第3章 地域型情報システムの基本設計
第4章 システム基本部の開発、整備
第5章 情報収集システムの試験運用
第6章 システム最適化のための要件検討
第7章 本研究開発の成果と課題