クリーンエネルギー自動車を用いたITS技術の研究開発報告書
(都心部および住宅地共同利用システム並びに走行管理・情報提供の高度化の研究開発)

(財)自動車走行電子技術協会(以下「自走協」)は、1998年からITS/EV新交通システム研究委員会(委員長 大山尚武 機械技術研究所長)の指導により、ITS技術の利用によるEV共同利用システムの研究開発を始めた。平成12年度は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、(財)日本電動自動車両協会の支援を得て、「EV普及のためのEV共同利用システムの広報・調査」事業として、横浜みなとみらい21地区を中心とした「シティカーシステム」と、稲城市多摩ニュータウン稲城地区を中心とした「住宅地セカンドカーシステム」の運用・実験を実施した

自動車は「ドア・ツー・ドア」の移動を可能にする利便性の高い交通手段であるが、反面、交通渋滞や環境汚染などの社会問題を引き起こしている。電気自動車(以下「EV」)は、高速走行、長距離走行には不向きであるが、静粛で排出ガスがでないという社会性に優れた車である。そこでEVの利点を最大限に発揮させ、弱点が問題とならない限定された狭域における交通手段として、ITS (Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の技術を活用したEV共同利用システムを構築した

(1) シティカーシステム
「シティカーシステム」は、平日に都心で働くビジネスマンや、休日のホテル客などを対象にした共同利用の仕組みである。環境改善はもちろん、社有車管理コスト低減、利用者の利便性向上などの効果が期待されている。 なお本システムの名称を、2000年10月に「都心レンタカーシステム」から「シティカーシステム」に改称した。これは、本システムが会員制であり、既存のレンタカーシステムと異なるものであることから、混同を避けるために行ったものである。 自走協は、このシステムを都市内の拠点毎にネットワーク化し、鉄道、バスなど公共交通と連携させて、ドア・ツー・ドアにほぼ匹敵するシームレスな新しい交通システムに発展させることをめざしてきた

(2) 住宅地セカンドカーシステム
「住宅地セカンドカーシステム」は、住宅地内数ヶ所に共同利用のためのEVステーションを設け、EVを共同利用する仕組みである。セカンドカーの利用ニーズが高まる一方で、大都市近郊の一般的な郊外住宅地では2台目の駐車場の確保は困難な状況にあるが、このニーズに答えたのが、この地域密着型の共同利用システムである。 また、これらの共同利用システムは応用範囲が広く、高層マンションでの利用、公用車の共同管理、企業の事業所間移動システムなど、このシステムを利用した種々のしくみが考えられる

ITSの開発・導入は、情報通信、エレクトロニクス、制御技術などを活用することによって、自動車や道路の利用者へ新たなサービスを提供したり、交通輸送を管理して、安全、快適、効率的で環境にやさしい交通輸送システムを実現することをめざしている。ITSは、高度な情報通信社会に向けた社会の動き交通輸送の切り口でとらえたものと言い換えることもでき、急速な発展を見せる情報通信のネットワーク化とITSとの連携は、今後ますます強まる傾向にある

このITS技術の進展は、1960年代後半から1970年代にかけて欧州を中心に提案・実験されたにもかかわらず実用に至らなかったEV共同利用システムに、復活、事業化のきっかけを与えようとしている。ITSの情報通信技術を駆使することで、車両位置確認、走行情報の提供、運転支援などが可能となるため、この技術をEV共同利用システムに活用し、「予約〜利用〜返却」手続きの無人化、効率的な車両管理、整備・保全管理、利用者への情報提供などを実施することによって、利便性の向上、運用コストの削減が可能となる

第1章 広報調査事業の概要
第2章 シティカーシステムの成果と達成状況
第3章 住宅地セカンドカーシステムの成果と達成状況
第4章 EV共同利用システムの実用化に向けた整備課題
第5章 考察
第6章 添付資料