クリーンエネルギー自動車を用いたITS技術の研究開発
(都心部及び住宅地共同利用システム並びに走行管理・情報提供の高度化の研究開発)

(財)自動車走行電子技術協会は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託事業「クリーンエネルギー自動車を用いたITS技術の研究開発」の一つとして、平成10年よりITS技術の利用によるEV共同利用システムの研究開発を行い、平成11年9月よりこの利用システムを、横浜みなとみらい21地区において「都心レンタカーシステム」、また、多摩ニュータウン稲城地区では「住宅地セカンドカーシステム」として実験を行った

バッテリのみを動力源としたEVは自治体の使用車などを中心に普及促進が図られてきたが、<1> 高額である、<2> 航続距離が短い、<3> 充電に時間がかかる、などの欠点を持つため、広く一般の人々には普及しなかった。 これらの欠点を克服し、普及の促進をはかるために、ある特定の狭い地域での利用に限定した「EV共同利用システム」を設計し、さらにITS (Intelligent Transport Systems) 技術を適用することで、利用者の利便性が高い、最適な車両管理システムを構築した。このコンセプトに基づき「都心レンタカーシステム」と「住宅地セカンドカーシステム」が構築された

(1)都心レンタカーシステム
「都心レンタカーシステム」は、ビジネスマンや、ホテル客などを対象にした共同利用のしくみであり、新しい都市の交通システムとして開発された。環境改善・渋滞緩和はもちろん、社有車管理コスト低減の効果が期待されている。今回の実験では、MM21地区の企業40社/約250人のモニター会員の協力を得て、主に業務用に利用してもらった

(2)住宅地セカンドカーシステム
日本の一般的な都市近郊住宅地の住居事情では、2台目の駐車場の確保は困難な状況にある。この障害を克服するため、地域密着型の共同利用システムである「住宅地セカンドカーシステム」を構築した。このシステムでは、EVを共同利用、すなわちカーシェアリングする仕組みである。今回の実験では、多摩ニュータウン稲城地区の専業主婦を中心に約220人をモニター会員として実験を行った

両システムは、基本的には車両と管理センターの通信など共通した要素で構成されるが、利用分野や、設定地域の特性の違いでシステムの特性が異なってくる。このため運行管理システムは、ITS機能を用いた両システム共通の「基本システム」と地域特有の周辺システムとしての「地域システム」を開発した。この基本システムの代表的な機能を以下に示す。
 ・車両への予約情報の提供システム
 ・利用者認証
 ・充電残量の警告
 ・返却時処理
 ・環境貢献度表示機能

実用化に向けた課題として、共同利用システムでは、
 <1> 共同利用システムの利便性の向上、
 <2> 自治体や地域住民と連携も含めた運用コストの低減、
 <3> 課金条件の設定
などがある

またITSシステムについては、
 <1> 管理センターシステムの高度化、
 <2> 車載システムの低コスト化、
 <3> 充電方式の統一
などの課題がある。

さらに、課金条件を含めた無人貸出の実用化に対する多くの法的障害の除去など、EVの普及に向けての対策も必要である

平成10年10月から両システム共に小型EV30台を用いた第1ステップの実証実験を実施し、本年1月からは超小型EV20台を加え、利用者も拡大した第2ステップの実験を行った。両システムとも、利用者から満足な評価を受けるとともに、新聞・雑誌・テレビ・ラジオに多く取り上げられ、普及のための広報活動も十分果たすことができた。 また、共同利用システムに適用する管理センターシステムと車載システムの骨格が構築できた。この共同利用システムは、類似の多くのITSの利用分野への応用が期待できるため、ITSの普及に大きく貢献できたと言える

第1章 研究開発の概要
第2章 海外/国内共同利用システムの事例
第3章 基本システム研究開発の成果と達成状況
第4章 都心レンタカーシステム研究開発の開発と実証実験
第5章 住宅地セカンドカーシステムの開発と実証実験
第6章 EV共同利用システムの実用運営に向けた整備課題